/ Summer In Paradise ( Brother Entertainment / 1992 )
マイク・ラヴ&ブルースジョンストンのビーチ・ボーイズを観て来た。六本木のビルボードにて。最近流行のオトナ志向のライブハウス。いやはや正に予想通りだったけれど、どれも短い3分間ポップスながら30曲ほど、新曲など一切無いベスト盤の如きヒットメドレーが続くという展開で。"ココモ"でグループの歴史が終わっていることを見せ付けられる。
それでも、"Surfin' U.S.A"や"Little Deuce Coupe"に代表されるサーフィン&ホット・ロッドな屈託の無いカリフォルニア産ロックンロールはやっぱりマイク・ラブじゃなきゃ、って気もした。とはいえ、一挙一動の全てがいとおしいブライアンのパフォーマンスに比べて、笑っちゃうくらい心に響かないんだけれども。
亡きカールやブライアンのパートもちゃんとメンバーがカバーできていたのは流石だった。"Darlin'"みたいなカールのパートをしっかり歌えるドラマー、ジョン・カウシル(60年代にヒットを出したカウシルズのメンバー)も居て。ただし演奏自体はブライアン・バンドの精緻さを求めるべくも無かった。個人的なハイライトはブルースの歌う"God Only Knows"かな。ラブ親子で歌った"Good Vibrations"も良かった。まあそれでも金太郎飴であるにせよマイク・ラブの鼻声で"I Get Around"とか歌われるだけでもう満足だったわけなのだが。
それにしても"Disney Girls"なんかは少なくとも聴きたかった。懐メロのオールディーズ・バンドだと判ってはいるライブながら、演奏中にサインを求めて群がるファンと、それに応えてマイク片手にサインするマイク(ラブ)とか、実に醜悪な風景だったことも事実。
一緒に行った長年の友人とも終演後話したけれど、3月のディランこそ、今求めるべきものなんだなと気付いた一日。
さて、そんな今日は『Summer In Paradise』を。ビーチ・ボーイズ名義のオリジナル・アルバムとしてはこれが最後のもの。今日ライブの1曲目だった"Surfin'"も再録されている。故テリー・メルチャーのプロデュースでデジタルな印象もあるけれど、90年代らしいビーチ・ボーイズ・サウンドに成り得ている佳作。ただしコレを聴くとますますカールの不在が痛いな、と思う。今日観たのはウィルスン兄弟の居ないBBなんだから。