/ 昭和の歌よ、ありがとう( 喝采 /2013 )
久々の更新です。いやはや、自分自身の作品作りに掛かりっきりになっていました。プロデューサーの尽力により、2人3脚、16曲のレコーディングが終了。イマドキこんな音楽やってる人はいないだろう、と思いつつの原点回帰のフォーク作品になりそうです。フォークと言いつつ、中には敬愛するラッパーさんと共演する曲があったり、スパイラル・ステアケースか!というソフト・ロックも交えつつ、結構バラエティに富んだ作品になったのではないかと思う。とはいえ、まだまだ終わっていないレコーディングもあるし、ジャケット含めリリースまでは課題山積。今後も命を削って頑張ります。
さて、やっと聴けた泉谷しげるの昭和歌謡カバー盤。ジャケ写は太陽の塔 by岡本太郎。泉谷、お前もか的な一枚ではあったけれど。もともと歌唱力で勝負していた人ではないし、近年声量の面では流石に苦しくもなってきているし、どうかな、と思ったのだけれど、そこは流石。びっくりびっくり、毎曲共演する女性歌手の力量を際だたせた無難な作りになっていた。曲によっては正直泉谷さんいるのかな?ぐらいの参加度の曲もあったけれど、クオリティは結構高い。つまりはキーの問題でしょう。泉谷さんの声域だと、女性キーに合わせると一オクターブ下げる他ない、という。よって泉谷の遠吠えはほぼ聴かれず(帯に「美女は歌い、野獣は吠える。」ってあったけれど…)。それでも、泉谷さんが後ろにいる、と思うだけでナニヤラ存在感があるわけなんですな。ミスで泉谷が照れるテイクをあえて採用した曲とかもあって、これは人徳というほかないでしょう。
とりわけ冒頭の”黒の舟唄”(野坂昭如〜長谷川きよし)の大竹しのぶと”涙のかわくまで”(西田佐知子)のカルメン・マキは圧倒的。泉谷にタイマン張れるなんてのはこの二人の女性ならでは。クミコの”ざんげの値打ちもない”(北原ミレイ)も結構良かったかな。コレ、どう歌うのかな?と思った”生きてるって言ってみろ”(友川かずき)はスロー・ヴァージョンになっていた。激しいヴァージョンを聴いてみたかったような。共演は中村中だし。あと夏木マリとの”胸が痛い”(憂歌団)の泉谷ボーカルが、かつて泉谷の”春夏秋冬”をカバーしたSION風だったのも意識したのかどうかわからないけれど、面白かった。森高千里との共演”悲しくてやりきれない”は初期泉谷のプロデューサー加藤和彦への追悼の意味合いもあるのだろうか。ビートたけし作詞の”夜につまずき”(八代亜紀と)も懐かしいエイト・ビートで悪くなかった。ビートたけしの『おれに歌わせろ』収録曲ですね。お笑い芸人と言えば明石家さんまのシングルもかつて結構売れました。
しかし紅白のパフォーマンスは賛否ありました。何言ってんだ、みたいな。まあでもリハでブチ切れたとか、全部ある種ネタですよね。でも最近、年齢のせいなのか、「怒ってるけど実は良い人」キャラが崩れて「実は本当にコワイ人なんじゃないの」っていう部分が出てきちゃっている気もするかな。まあ、私が中学生の時ギターを持つ直接のキッカケになった人だし(九段会館でのライブを観て、惚れ込んだんです。弦が切れたギターをかきむしる姿、中学生にゃあ刺激的だった…)、それをキッカケにして、人生を変えたバンド「古井戸」にも出会えたわけだから、あんまり悪くは言いたくないんですが…。
最後に、レコード会社の「喝采」って、ちあきなおみ かよ!って感じで気になったのだが、調べてみると及川光博所属マザーエンタープライズの関連会社とのこと。2012年の自主盤に代表曲”春夏秋冬”のニューヴァージョン2014を含む2曲のボーナス・トラックを含めた『突然炎のように!』も今年1月に同レーベルからリリースされている。こっちはのっけから叫んでいて、このカバー盤が消化不良だった方はぜひこちらを!2008年の『すべて時代のせいにして』もそうだったけれど、近作も聴き応えがある。
1. 黒の舟唄(大竹しのぶ×泉谷しげる)
2. 涙のかわくまで(カルメン・マキ×泉谷しげる)
3. ヨイトマケの唄(泉谷しげる×佐々木秀実)
4. 花〜すべての人の心に花を〜(手嶌葵×泉谷しげる)
5. ざんげの値打ちもない(クミコ×泉谷しげる)
6. 生きてるって言ってみろ(中村 中×泉谷しげる)
7. 悲しくてやりきれない(森高千里×泉谷しげる)
8. 胸が痛い(夏木マリ×泉谷しげる)
9. 夜につまずき(八代亜紀×泉谷しげる)
10. 見上げてごらん夜の星を(夏川りみ×泉谷しげる)