/ Early Takes Volume 1 ( Universal / 2012 )
先日デモ集を取り上げたキャロル・キング、4月に自伝『A Natural Woman』の出版があり、その本が自宅に届く。まだ日本語版は出る気配がない。アメリカの書店Barnes & Noblesで行われた出版記念会でキャロルがサインしたものをe-bayで入手してみた。まだたぶん冊数があるので興味のある方はチェックしてみては。本自体は写真も含む典型的な自伝。故リック・エヴァースとの3度目の結婚でも判るけど、ヒッピー世代なだけに相当のカントリー・ライフを送っている模様。
さて、ということでまたしてもデモ集。ブート盤みたいな安直盤が公式リリースされる時代になったものだ。寡黙なビートルズ、として知られる故ジョージ・ハリスンの10曲のデモは、昨年リリースされたマーティン・スコセッシ監督のジョージ伝記映画のDVDに付属していたモノの単体発売。余りにDVDセットのパッケージが高すぎたから順当でしょう。ちなみに店舗よりアマゾンで買った方が安い。
聴いてみると、”My Sweet Lord”なんかはどう考えても音盤化された正規ヴァージョンに軍配が上がるし、こんなギターヘタだったっけ、なんて思ってしまうんだけれど、アコギの弾き語り色が強いトラックはむちゃくちゃ良い。とりわけディランの影響が強かったソロ初期のものだから。もろディランのカバー、”Mama You’ve Been On My Mind”なんてディラン本人かと思うような出来。しかしジョージらしいギターも入っていて、海賊版で出回っている、かのジョージ&ディランのセッション・テープを思わせる。そちらはディランが歌うビートルズの”Yesterday”なんかもお遊び感覚で入っていて一興だ。
他にもエヴァリー・ブラザーズ他で知られる”Let It Be Me”がスライドと一人エヴァリーズなコーラスも入ってとても良い感じ。1976年のアルバムに収録された” Woman Don’t You Cry For Me”も初期から存在していた曲のようで、カントリー・ブルーズを思わせるアレンジのデモを聴くことが出来る。そしてカチッとしたアレンジが白眉の”Awaiting On You All”は必聴でしょう。
こうして聴いていくとついついVolume2以降も期待してしまう。