/ 40年。まだこれがベストではない。長谷川きよしライヴ・レコーディング。( Columbia / 2008 )
そういえば去年こんなCDを買っていたっけ、と棚で探し物をしていて見つける。小西康陽がプロデュースした長谷川きよしの新作。プロデュースと謳ってはいるが、彼なりに長谷川きよしを最高に活かすためのレコーディングのお膳立てをした、って感触を受けた盤。何しろ基本は本人のギターと唄のみ。そこにパーカッションとフルートが入るだけ、ってんだから実にステージで聴く生の感触。
でも、長谷川きよしのステージに触れたことがある人ならば、コレが最善の選択だったと思うはず。いかなるレコーディングも彼の最高の瞬間を捉え切れていない、という思いがファンにはあるだろうから。でも、ライブは本当に凄いんだ。目の前でギタリストもかくやという超絶プレイが弾け飛び、そこに凄みのある唄が載ってくる辺りで、鳥肌が立ってしまうのである。今でもその感覚を思い出すことがある。
そういうわけで、チューニング作業やMCも含めてスタジオライブをそっくりそのまま収めた本盤は、手抜きなんかではなく、長谷川きよしを良く知ればこそのプロデュースだったと思うのだ。
いいなぁ。”透明なひとときを”と”別れのサンバ”を立て続けに演る辺りでもう彼の舞台に引きずり込まれている。かつて共演した椎名林檎の佳曲”化粧直し”もいいし、お決まりのシャンソンナンバーも最高だ。”マイ・ウェイ”の原曲”コムダビチュード〜いつも通り〜”もライブで聴いた感動が蘇る。
本当に良いレコードなのに、売れないどころか話題にもならなかったことが残念でならない。こんな風に音楽は使い捨てられていくものなのだろうか。そうではない、と信じたいが。