/ Expando ( Lost Highway / 2009 )
ポコ〜イーグルスのティモシー・B・シュミットの新作。まあなんと申しますか、J・D・サウザー同様何をやろうと好きな人でありまして。ジャケからして、今までの定番だった“ウッドストック”な容姿を抜きにしていて、気難しいアーティスティックな作かな?と邪推していたけど。今作は贔屓目を抜きにしても充実作!地味ながら、ウェストコーストのカントリーロック好きには外せない作品。ポコ時代を思わせる原点回帰作かと。最近輸入盤がバカに安く送料も掛からないCD WOWより購入。アマゾンより届くのは遅いけど、こう日々レコが増えていくと、発売日に買ってもどうせ1週間後に聴くなんてこともザラだし、いいかな、と。
さて、冒頭のM-1”One More Mile”はケブ・モのドブロが入るブルージーな曲。ベース、アコギ、バンジョー、ウクレレはティモシーの一人多重録音。今作はそういったハンドメイドなパターンが多い。ゲストは多彩ながら、基本はパーソナルな作と見た。M-5”White Boy From Sacramento”みたいな変わらぬ自分を確認する曲もあるし。M-2”Parachute”はティモシーのアコギカッティングにベンモント・テンチのベースとジム・ケルトナーのドラムスが絡む。マイナーキーのメロはサビのグレアム・ナッシュのコーラスが入ってくる辺りで高揚。80年代のCSNのナッシュの曲みたい。激しいリードギターはケニー・ウェイン・シェパード。向こう見ずなソロがスティルスを思わせる感じなんだな。
優しいテナーが映えるシンプルなラブソングM-3”Friday Night”は彼の真骨頂。ガース・ハドスンのオルガンとヴァン・ダイク・パークスのアコーディオンも入って。これまた一人多重録音のM-4”Ella Jean”も切ないアクースティック・バラードで。もうここまでで本作の充実を確信。同じアクースティックものでは内省的なM-6”Compassion”やM-8”Melancholy”も捨て難い。詩とは離れてポップでトボけた味のM-9”I Don’t Mind”も最高。
ゲストでいうと、M-7”Downtime”も豪華で、ヴィヴラフォンにはゲイリー・バートン、カントリータッチのコーラスにはキッド・ロックとドワイト・ヨーカムが参加。M-10”Secular Praise”にはブラインド・ボーイズ・アラバマがハレルヤコーラスで入ってくるのも実に良い。ラストはポコか、という位のマジでカントリーな作M-11”A Good day”。こんな予期せぬ新作に出会えて嬉しい気分。