/ Just A Man…Born Of A Woman Like You ( Evolution 2002 / 1968 )
今日取り上げるのはラリー・サントスの1st。タイトルが凄い。“私はただの男…あなたのような女のために生まれた”なんてキザなタイトルだろう。歌っている主は1963年のフォーシーズンズのヒット曲”Candy Girl”(ボブ・クルーとボブ・ゴーディオ以外のライターが作った初のシングル)を作った、ブルーアイドソウル・シンガーソングライター。フォーシーズンズと共演したシングルもアトランティックから出ている模様(”Someday”)。1975年にもカサブランカから”We Can’t Hide It Anymore”を小ヒットさせている。このソロ盤以前にもマディソンズ名義でシングルをリリースしている。
歌唱はビル・メドレーと似た黒っぽいもの。まあビル程の低音ではないけれど、スタンダードっぽいバラードを歌う風情に、近い感触が。アレンジはウォルト・ラビンスキー。プロデュースはロバート・バーン。ジャズ畑の制作だが、オルガン、ブラス、コーラスなんかが入ったアレンジで、ブラス・ロックっぽさがあって良い。ギターはカイル・ギャラハン(サイケバンド、カメレオン・チャーチのギタリスト)だし。スペシャル・サンクス欄にはジェリー・ジェフ・ウォーカーの名が。
熱いのはA・B面それぞれの冒頭A-1”Comin’ Up In The World”(ボブ・クルーとの共作で、フォーシーズンズもレコーディングしている)、B-1”Baby What Song ( Do You Want To Hear? )”、さらにアップなA-3”You Got Me Where You Want Me”。ブラスロックやソフトロックのファンにもオススメできる。60’sポップスの甘酸っぱさもあり。A-2”Woman-Child”はイントロの弦が当時一世を風靡していたグレン・キャンベルのウェッブ-アル・デ・ロリーものを思わせる。そのジミー・ウェッブのB-4”Paper Chase”も本盤ではカバーされている。名曲・名唱でのなかなかの好盤。e-bayで覗いてみたら59ドルとか付けてる店もあったけど、某レコ屋で800円だったのだが。そこまで貴重なレコとも思えない。ちなみに、同年に発表されたセカンド『Mornin’ Sun』(Evolution 2015)にはジミー・ウェッブの”I Keep It Hid”が収録されている。