/ ブルージェ ( Polydor / 1973 )
”ふたりの夏物語”(杉山清貴&オメガトライブ)、”悲しい色やね”(上田正樹)、”悲しみがとまらない”(杏里)、”思い出のビーチクラブ”(稲垣潤一)、”September”(竹内まりや)と言った楽曲で70年代末から90年代前半まで一世を風靡した作曲家、林哲司の35周年記念コンサート『〜Hit Song File〜』。23日に行って参りました。
元々シンガーソングライターだった林。ビートルズの産湯に浸かったと言わんばかりのセミアコを抱えて自らが結構歌っていたのには驚いた。完全なソングライターヴォイスだが、その楽曲のキャッチーさたるや、流石の一言。バブリーな時代性もありますが、歌詞に「悲しい」とあっても余り悲しい感じがしないのがこの人の持ち味。あと、コンテンポラリーなポップスでありながら、ワビサビを利かせた歌謡曲であり続ける所も魅力。
さて、ゲストは盛り上がりました。杉山、稲垣も全盛期と変わらぬハイトーンで。上田はかなり異色でしたが、完全に場を食うほどのソウルメンっぷりを発揮。そしてそして、シークレットゲストがなんと竹内まりや!!デビュー曲の恩義を感じて、なのか、レーベルを超えたベスト盤のプロモーションを兼ねてなのかわからんけど、ビックリ。”September”と”象牙海岸”を披露。かなりの声量と安定したピッチに驚かされる。なんか歌声を聴いただけで目頭が熱くなってしまった次第…。
さて、アンコールでは林がアコギ弾き語りで”ブルージェ”を歌ったのにも感動した。マア、殆んどの客はポカンとしてましたが。この曲、昨年MR-5000番台シリーズでCD化されたデビュー盤のタイトル曲。売れなかったのは当然、な音だが、当時オフコースなんかがやろうとしていた、かぐや姫とは一線を画す洋モノの音。まだまだ未完成ではあるんだけど。A-2”月曜日の朝”のAメロは、リズムアレンジを変えれば80年代の林の作品になり得る。ポールの”Junk”みたいな胸キュンもの、A-4 B-3”アイスクリームの夢(A)(B)”やB-4”灰色のコート”が良い。A-1”僕の隣の孤独”とB-5”ブルージェ”がシングルに切られたわけだけど、歌謡ポップスとして完成したB-4”灰色のコート”の方が評価できるところ。
ちなみに佐藤健のhttp://d.hatena.ne.jp/markrock/20070617は姉妹盤。佐藤健もclass”夏の日の1993”という90年代のマスターピースを作り上げた人。