/ If The World Was You ( Slow Curve Records SC001 / 2008 )
JDの24年ぶりの新作。サイトの視聴でガマンしてきましたが、とうとう全編で楽しめる。
ジャケを見ると老いを感じさせずにはいられないのだが、今までのキャリアにないジャジーな音作りに流石と思わせられる。ワザワザ24年ぶりに出すんだから、変化が無いのもナンだなということでしょう。ジャズコンボとの共演が意外なマッチング。ジャケもソレ風になっている。まあアメリカ音楽は根っこで全て繋がっていますから、カントリーがジャズになってもうまくいくことは想像できるのだが。
久々のJDとの再会にはまたとない、冒頭M-1”I’ll Be Here At Closing Time”はかつての”I’ll Take Care Of You”なんかを思わせる優しいメロの佳曲。書けそうで書けない曲。デビッド・ゲイツと同様、聴く度ホッとさせられる。M-2”House Of Pride”はベラ・フレックの痛快なバンジョー・ソロが聴けるプログレッシブ・ブルーグラス。今作をサポートするバンドは、ベラ・フレックと一緒に演っているテナー・サックス奏者ジェフ・コフィン、そしてジェフのソロ作に参加しているトランペッター、ロッド・マクガー、ピアノのクリス・ウォルターズ。さらに、ベースにダン・イメル、ドラムスにジム・ホワイト。そこにJDのアコギが絡む。M-4”One More Night”はニューオーリンズ風。M-5”In My Arms Tonight”は旧いジャズを聴いている気分にさせられるバラード。エキゾチックな女性コーラスが印象的なM-6”Rain”はメキシカンな聴かせる一曲。後半、M-7”A Chorus Of Your Own ”からはB面、という感じ。よりバッキングのジャズ色が増す。M-8”The Border Guard”は以前紹介したとおり。(http://d.hatena.ne.jp/markrock/20080910)トーキングもの、M-9”Brown (Osaka Story)”のオーサカは予想通り大阪でした。JDのエキゾチック感覚はメキシコも日本も同じ範疇らしい。M-10”Come On Up”はかつて『You’re Only Lonely』で表現してみせた、アメリカン・オールディーズ・ヒットパレードの世界に近い作り。ドリフターズみたいな。ラストM-11”The Secret Handshake Of Fate”は13分にも及ぶジャム風の1曲。この曲に象徴されるスタジオライブ感が本盤の魅力。