/ seeing things ( Columbia / 2008 )
ジェイコブ・ディランの初ソロ作。ウォールフラワーズもまだ解散したわけではないようだが、ザ・バンドのトリビュート作だとか、ジョージ・ハリスンの息子ダーニとの共演(ジョンのトリビュート作)だとか、ソロ活動が目立っていた所。
なんと言っても注目は父ボブと同じコロンビアへの移籍。落ち着くところへ落ち着いたと言うか。プロデュースは、コロンビアのお偉いさんになってしまったリック・ルービン。SSWものにおける、無駄なエコーや弦なんかを排除したネイキッドな音作りには定評がある。ジョニー・キャッシュのアメリカン・レコーディングスの3部作や、トム・ペティ『Wildflowers』、ドノヴァン『Sutras』は、個人的にもリアルタイムで感動した作品。
本作はそう言った作品のテイストを髣髴とさせる「裏切らない」一品。基本的にはジェイコブの生々しいアコギ、ベースにしわがれた親父似のボーカルが乗っかる。リックのスタジオで録られたものだ。ブルージーなM-1”Evil is alive and well”から、濃密な音空間に引き込まれる。M-2”Valley of the low sun”は親父かと思う一瞬も。M-5”Will it grow”なんかを聴いていると、父よりもトム・ペティっぽいソングライティングセンスを持っていると思わされる。曲によっては割とカントリーやフォークの定石に載っている辺り。カッチリした3フィンガーとかも。そう言えば、ウォールフラワーズが”One Headlight”でブレイクした時、ペティの再来ってなアメリカンロックサウンドに大興奮したことを思い出す。
いずれにせよ本盤、じっくり聴き込む所存。