/ HOOTENANNY with CHUEI YOSHIKAWA ( Victor / 2008 )
友人の誘いで昨日、ギタリスト/SSWの吉川忠英のレコ発ライブへ。彼、もう還暦過ぎなんですね。ライブは二度目。原宿の町に降り立つと、会場近くでムッシュかまやつに遭遇。ていうか、ゲストだったわけだけど。
ライブのほうは、新作にゲスト参加している人の大半が参加。前座的な若い世代のフォークアーティスト(ヤドカリ、ビリケン)に加え白鳥英美子(EX.トワ・エ・モア)、ムッシュかまやつ、佐野史郎、モダン・フォーク・カルテット(日本版MFQ、つまりマイク真木にトムズキャビンの麻田浩ら)ら吉川と親交あるベテラン陣が続く。目玉は吉川のキャリアのスタートともなったモダンフォーク・グループ、ニュー・フォーク・フェロウズとニュー・フロンティアーズの再結成。ニュー・フロンティアーズは70年代初頭、日本人アーティストとしてトルバドールに出演。米キャピトルが獲得に動き、“EAST”名義で全米10位という戦績を上げていることでも知られている。コレ、かなりの名盤(http://d.hatena.ne.jp/markrock/20050504)。瀬戸龍介色が強いから吉川自身は嫌いみたいだけど。以前ライブで「イースト持ってますよ」と言ったらあからさまに嫌な顔されたし。
で、印象に残ったことと言えば、まず瀬戸龍介が日本人離れしたバリトンボーカルを聴かせてくれてかなり良かったってコト。瀬戸さん、何やってるのかと思っていたら、元ヒッピーにありがちなパターンですが、ニューエイジ関連でかなりの地盤を築いている模様(http://www.galaxymusic.net/contents/index.html)。元ランチャーズの喜多嶋修を思い出す。さらに、吉川が慶応閥だということも改めて気付いた。コレも重要。モダンフォークってのは日米問わず御坊ちゃまの遊戯だったわけですが、大抵彼ら、海外進出に熱心だったりもする。しかも東洋趣味全開で売り込むと言うパターン。EASTなんてまさにソレですな。そして、吉川がソロよりもリズムギタリストとして凄いんだなってことも再認識。元々JTばりのSSWとして売り出されたわけだから当然なんだけど。
さて、てなわけで同時発売の再結成ニュー・フロンティアーズによるキングストントリオのカバー盤もなかなかの出来のようだが、あえて新作を入手。フォーク回帰の本作はM-1”Greenback Dollar”(The New Frontiers)、矢井田瞳と歌うM-2”風に吹かれて”、トム・パクストンのM-3”The Last Thing On My Mind”と冒頭3曲を見ても判る通り、ベタベタなフォーク・スタンダード・カバー集。中にはオリジナルも含まれていて、加藤和彦・ムッシュと歌うさりげないM-7”お月見と君”や、元テキーラサーキットのSHIMEと歌う、オーリアンズ風な70年代のアウトテイク”Life is Music”がなかなかだった。
しかし、ラップとフォークを融合したとか言ってるビリケンだとか、トワエモア白鳥の娘白鳥マイカ、ヤドカリなるデュオに至っては殆んど個性を感じさせなかった。ライブよりレコーディングのほうがまだ良かったかも。吉川は矢鱈一押しなのだが、一言で言って厳しいものがある。オジさんになると、若いだけで良く見えちゃうのかも。