/ Boucles d'oreilles ( 2007 )
80年代(前半から半ばまで)の大貫妙子の音作りはどうにも好きになれない。透き通るボーカルの息づかいが全く感じられないし。
となると、1987年の『pure acoustic』は至福の出来。アクースティック編成で代表曲を心行くまで堪能できる。さて今回の新作は『pure acoustic』の続編というか発展盤。フェビアン・レザ・パネのピアノを中心とした生バンドでのコンサートを真空パックした内容。
ただし、『pure acoustic』からそっくりそのままの再録M-10〜M-14(”黒のクレール””横顔””新しいシャツ””Siena”突然の贈り物”)が収められているのはファンには複雑なところ。でも、M-3”彼と彼女のソネット”、M-4”若き日の望楼”(カナリ良い)、M-5”風の道”などは『pure acoustic』にも収められていたものの、今回は新録。旧録と並べて進化・深化した今の音を聴かせたいというアーティストの欲求が伝わって来る。また、今ひとつ音作りが好きになれなかったM-9”メトロポリタン美術館”もこれなら太鼓判。一回聴いてオシマイな盤も多い昨今だが、また聴きたいと思わせるところは流石。
ちなみにこの盤と同日発売された(3月21日)女性シンガーによるJ・POPカバー集『Voice Colors 〜あなたといたころ〜』ではオフコースの”やさしさにさようなら”をセレクト。大貫ボーカルとのマッチングは悪くない。