/ Into The Twangy-First Century ( 1993 )
/ Row Vs. Wade ( 1994 )
ブルーグラス好きでソウル好きならコレ程ツボな盤はない。ソウルミュージックの超が付くほどの有名曲をブルーグラスアレンジで痛快に仕上げている快盤!バンド名はRUN D.M.Cから頂き、ジャケでもラッパー気取りのオフザケっぷり。2in1のCDが昨年出たので購入。バーンズ・ブラザーズなる覆面兄弟を名乗っているメンバーが凄くて、元イーグルスのバーニー・リードン、アメイジング・リズム・エイスのラッセル・スミス、さらにヴィンス・ミレイムドにジム・フォトグロ!!
ジム・フォトグロと言えば80年代初頭にポップソウルなAOR名盤3枚を残しているが、その後もダン・フォーゲルバーグのツアーバンドでベースを弾いたり、ナッシュビルでソングライターとしてダート・バンドに提供した”Fishin’ In The Dark”をカントリーチャートNo.1に送り込んだりと確実に実績を積み重ねている人物。ヴィンス・ミレイムドはトリーシャ・イヤウッドとドン・ヘンリーのデュエット”Walkaway Joe”やティモシー・B・シュミットの”Something’s Wrong”なんかを書いたライター。
さて、本当に全編痛快な限り。まず一枚目『Into The Twangy-First Century』。 A-2”Walkin’ The Dog”ではソウル/ブルーズのルーツがカントリーと繋がっていることを早速理解。A-3のメドレー(What’d I Say / Superstition / Stop In The Name Of Love)には笑う。レイ・チャールズの”Hey〜Ho〜”が牛やニワトリの鳴き声に。”迷信”のスティーヴィーリフもなんなく乗り切り、シュープリームスはこう来たか、と。パロディものでも確かな演奏力に脱帽。さらに3拍子になった長閑なM-4”My Girl”も良い!特に気に入ったのはサム&デイブ M-6”Hold On I’m Coming”! 擬似ライブ形式になっており、なぜか逆パターンだが映画『ブルース・ブラザーズ』の“ローハイド”演奏シーンを思い出した。昨年惜しくも亡くなったJBもの”I Feel Good””Please, Please, Please”もA-7、A-8のメドレーでそれぞれ披露。A-8はブルーグラス・クラシック”Wildwood Flower”のメロを”In The Midnight Hour”に挿入すると言うアイデアも。A-9のオーティスメドレー(Can’t Turn You Loose / I’ve Been Loving You Too Long)のタイトル”Bill’s Medley”ってもしやライチャス・ブラザーズの片割れ“ビル・メドレー”のこと?ボーカルをビルに似せてまではいないが、芸が細かい…。
二枚目『Row Vs. Wade』ではM-13”Reach Out, I’ll be There”、M-15”Signed, Sealed, Delivered ( I’m Yours )”なんかが印象に残った。M-17”Spanish Harlem”、M-19”Chain Of Fools”、M-20”Bring It Home To Me”と言うベタベタ選曲には変わりナシ。ただし、2作目で打ち止めになったのも理解。流石にオナカ一杯、と言う。しかし演奏力はあくまで確か。カントリーロック世代のヤワラカイ感性の賜物かと。
ところでブルーグラスで他ジャンルの曲を演奏すると言うアイデアは、リヴィングストン・テイラーのライブなんかでもあったけど、コッチが先か?まあ昔からインスト盤なら試されていたものと思うが。