/ Same ( Paramount /1972 )
素晴らしい。いつもお邪魔しているaddsomemusicさんのサイト(http://d.hatena.ne.jp/addsomemusic/20070121)で再発情報を知り、鼻息荒くも購入!!80年代にエレクトロ・ポップなカーズでヒットを飛ばすリチャード(リック)・オケイセックとベンジャミン・オーチョウスキー(オール)が在籍していたミルクウッドの唯一作。韓国の再発シーンだが、アルゾの2in1だとか、ミネソタの秘宝マーク・ヘンリーのボーナス入り紙ジャケ盤だとか、一体どうなってるの!日本の市場にどれだけ意識が向いてるのか知りませんが、本当に驚かされます。たどたどしい日本語帯がなんだか可笑しいですが。
さて、中身はというとCSNフォロワー丸出しなアクースティックな激良盤。しかし、CSNよりもむしろガロっぽいと言うか。喫茶ロックな香りが充満。実に日本人好みな音。冒頭M-1”With You With Me”の薄口の味わい。適度なカントリーっぽさからSSWものに似た良さを味わえる。M-2”Dream Trader”は当時誰もが真似た”Wooden Ship”を思わせる一曲だが、CSNほど60年代と言う時代を背負った重苦しさもなく。M-3”Lincoln Park”はマナサス” Colorado”みたいな感じか。この曲のみベンジャミンの作。他は全てリックの作。M-4”Bring Me Back”の穏やかさには失神。M-5”Timetrain Wonderwheel”では珍しくハードサイドを味わえる。しかしアコギを絶やさず、踏み外さない。
さらにレコではB面M-6”Makeshift Pawn”はM-4と同感触。良い。M-7”The Light Won’t Burn”はアルペジオが美しいバラード。3フィンガーにはじまるM-8”Along The Way”はブリブリしたベースが印象的なカントリーロック風味。M-9”We’ve Been All Through”も同様カントリーロックな一曲だが、リックのボーカルにコブシはなく、それが本作に独特の気品をもたらしていると思われる。ラストM-10”Winter Song”はギター2本のマッチングが美しい!SSWものとして聴いて間違いない。ううむ、突出した曲はないものの、10曲通しての統一感の高さは指折り。見事な盤です。
メンバーはリック・オケイセックとベンジャミン・オールに加えジャス・グッドカインドの3人。ドラムスはサポートメンバーが。ミルクウッドの三人、同じくパラマウントから発売され、プロデュースもミルクウッド同様アル・シュワルツが担当したNiki Aukemaのフリーソウル唯一作『Nothing Free』にも参加している。この盤、ブルース・スプリングスティーンのE.ストリートバンドでキーボードを務めるロイ・ビタンが作曲、プレイヤーで参加している。