/ Pieces ( EYEWALL/RHINO / 2009 )
私事ながら30を迎えまして。ドント・トラスト・オーヴァー・サーティなんて言葉がありましたけれど、信用されない年齢になってしまいました。
さてさて。まさか21世紀になってマナサスのアウトテイク集なんてものに触れられるとは思ってもいなくて。一連のCSNのアーカイブ。スティルスのデモや結成間もないCSN自体のデモ集がリリースされるに至り、もうこれ以上は無いのかな、なんて思っていたら、マサカのマサカですよ。
マナサスといえば、2枚組の大名盤『Manassas』(1972)を初めて聴いた時の衝撃が忘れられなくて。特にD面のロックンロール・サイド。”The Treasure (Take One)”なんて、ぶっ飛びましたよ。CSN&Yよりカッコイイと本気で思いました。CDはコーラスが割れちゃってるように思えたけど、マスターに起因するものなのかな。
さて、で今回のアウトテイク集だが、当然今までのデモ集の完成度は越えている。全然バンドの音として発表できる水準。アルバムに必要とされなかった理由はなんとなく判るけれど、楽曲の質が劣るわけではない事は、後にクリス・ヒルマンのソロで発表されるスティルス作のM-1”Watching Hour”を含んでいることからも判る。マナサスのファーストがリリースされる前年『Stephen Stills 2』で発表されたM-2”Sugar Babe”、M-6”Word Game”が含まれているのも面白い。元々『2』のツアーバンドから発展したのがマナサスのプロジェクトだったわけで、この選曲は不思議ではない。あと聴き覚えのあるところでは、既出の”My Love Is A Gentle Thing”(1975年のスティルス・ソロ・レコーディング)がなぜか入っている。
スティルスは未完成としているようだが、ボニー・レイットがコーラスに加わったミディアムなカントリー・ロックM-5”Like A Fox”は素晴らしい!後に発表する楽曲の雛形もあって、ラテンなインスト”Tan Sola Y Triste”はマナサス・セカンドの”Pensamiento”に。ジョー・ウォルシュがギターで加わったM-3”Lies”は初期ヴァージョンを
。1975年の『Stills』の”Shuffle Just As Bad”に生まれ変わるブルーズロックM-8”Fit To Be Tied”、サウザー・ヒルマン・フューレイ・バンドでリメイクするM-9”Love And Satisfy”、マナサス・セカンドの初期ヴァージョンM-13”Do You Remember The Americans”もあったり。
あとは、クリス・ヒルマンという強力なブルーグラス・マンドリン弾きの参加をきっかけにブルーグラスを演っているのも面白い。フィドル・プレイヤーのバイロン・バーラインが歌うビル・モンローのM-12”Uncle Pen”だとか、フライング・ブリトー・ブラザーズのレパートリーだったM-14”Dim Lights Thick Smoke (And Loud, Loud Music)”とかもあり。
ラストはキレてた時代のスティルス・ブルーズを堪能できるM-15”I Am My Brother”!
ますます聴くにつれ、カントリー・ロックからブルーグラス、ブルーズにラテン、サザン・ロックのテイストも加味したこのバンドの音が堪らなく好きだったと改めて感じた次第。ここまで好きだと冷静に聴けないって事です。
そういやマナサスのライブ・ブートを持っているけれど、バッファローの”Rock & Roll Woman””For What It’s Worth”からフライング・ブリトー・ブラザーズの”Hot Burrito #2”、さらにCSN&Y時代の”Carry On”や”49 Bye Bye’s”、さらにヒルマンがいるからとバーズの”Rock’n’Roll Star”まで演っていたり、マコトに生で聴いたら失神するような音でありまして。