/ Same ( J-more / 2006 )
最近も色々雑多に買っている。アマゾンが多いか。そう言えばアマゾンでは中古扱いになっている海外のストア、caiman-americaって最近エアメールですぐ届くようになりました。ケースが破損したりしていることもあるが、聴ければそれでいい。何しろ送料340円を足してみても格安だし、廃盤モノも在庫あるし。最近聴いた中で印象深かったのは、旧いものではドアーズの紙ジャケ仕様のリマスター。音がいい。思わず全アルバム揃えてしまった。ぶっといブルーズロックとして聴けます。
さて、新譜にも気になるものがチラホラ。日本ではテリー&フランシスコの1st。ディスクユニオンやタワレコでシングル200円戦法で売り出していた、はっぴいえんど〜シュガーベイブ直系のシティ・ポップデュオ。アートワークが既にセンチメンタル・シティ・ロマンスな感じですが、実際気持ちの良いサウンドは共通。ていうかキャロル・キングのいたOdeからデビューしたTufano & Giammareseを思い出してしまった。音じゃなく、バンドのロゴが、ですよ。いや、もっとサザンロックな感じかな。
さて、7曲のミニアルバム仕様ですが、『青春漫画』のタイアップM-1”ためいきの銀河”から昔懐かしいシティポップの音。生音な感じも悪くない。ただし、ボーカルの線は細め。古くは銀河鉄道、サニーデイサービス、さらにはキリンジやママレイド・ラグにしても、はっぴいえんどフォロワーの音はたいていはっぴい〜山下達郎の音に大滝っぽい薄い無機質ボーカル、そして松本隆調の詩“〜なんです”と相場はきまっているのだが、彼らもそういう意味では余り新しさはない。洋楽的な音にするべく日本語の詩の抑揚を無視した、ぎこちないけれど心地よい音。近年、凡庸なJ−POPになるのを防ぐための日本語アーティストの戦略はコレ。くるりなんかも日本語の乗せ方はコレ。参照するルーツはいつになっても「はっぴいえんど〜シュガーベイブ」と言う。これを押さえとけば、商業性ではなく芸術性を認めてもらえるのだ。アコギ主体でもフォークじゃなく”ロック”になると言うか。フジロックにも出させてもらえると言うか。似た流れで言うと、ハナレグミ(永積タカシ)がいるが、彼は同じアメリカ音楽への造詣を割と“暑苦しい”ボーカル(それでいてとても上手い)に載せている分、面白いと思う。その音はカントリー寄りで、はっぴいえんどが出来なかったことを演っている気がする。
まあいずれにせよ、テリー&フランシスコ、「はっぴいえんど〜シュガーベイブ」な音がいささか食傷気味になっている昨今だから、ちょっとあざとく聴こえちゃうのだ。何しろメジャーデビューの本盤はエイベックスからだし。
まあでも、オリジナル以上にはなれないにせよ、こういう音、彼ら好きなんだろうなぁ。その愛情は伝わってくる。
A-4”乱気流”は はっぴい風の詩でこれもシティポップの王道。A-3”青いペガサス”では堂々イントロでシカゴの”Saturday In The Park”を流用。しかも音はマイケル・マクドナルドリフを使った稲垣潤一のリゾート盤みたい。ティンパンファミリー、佐藤博がピアノ参加。本盤、先着でM-7”まだ見ぬ町”のアコースティックバージョンのデモCDが付いてきた。しかしコレ、アコギとボーカルのトラックを抜き出しただけでしょ。なんていう怠慢。スタジオミュージシャンがクリックに合わせて弾いてる感じのアコギが許せない。これをアコースティックバージョンとか言っちゃうとこが、真の音楽ファンをバカにしたエイベックスな感じ。まあタダでは文句も言えませんが。