/ Blue Sky ( RCA 0264 / 1973 )
バリー・グリーンフィールド(アーティスト名はグリーンフィールド)の唯一作。アクースティックポップの佳作で、ブリューワー&シップリーとかと同様の感覚で聴ける。B&Sよりもっとポップ寄りだが。しかもバッキングにはラリー・カールトン、ジョー・オズボーン、ラス・カンケル、ディーン・パークス、ジム・ゴードン、ラリー・ネクテルという西海岸の腕利き達。グリーンフィールド自身の歌声は粗く震えた感じ。アレンジはジミー・ハスケル、プロデュースはアクーティックに定評あるデヴィッド・カーシェンバウム。表は集合写真風ジャケ、裏は通知表という小学校を意識したアートワークは何故?
冒頭A-1”On The Road To Safety”からアコギのカッティングが気持ちいい。イーグルス”Take It Easy”を思わせるカントリーロック。サビでは、聴きなれたゴスペル風のコーラスが飛び出すが、これはスワンプの燻し銀SSW /プロデューサー、ダニエル・ムーアによるもの。ダニエルの作、”Shambala”(B.W.スティーブンソン)に似ている。A-2”Free The Lady”はマンドリンなんかも入って一転メランコリックなバラード。フリーキーなキーボードソロは必聴。また、ジョー・オズボーンのこの頃のポーンとクリアなベースの音がいい。SSW好きにはツボだと思う。A-3”How Long Can You Give Me”は、その震えた歌声がとりわけアルバート・ハモンドに聴こえてくる。A-4”Suicide”はその破滅的なタイトルとは裏腹に優しげなバラード。さらにA-5”Honey, Honey, Treat Me Nice”はカントリーっぽい作品だが、ラリー・ネクテルのホンキートンク調のメリハリの利いたピアノプレイが、凡曲になるのを防いでいる。
さてB面。B-1”New York Is Closed Tonight”は、バリー・マンを思わせるしゃがれ声で歌うバラードから。展開していくにつれ今度はキャット・スティーブンスを想起。後半にはハードなギターソロも飛び出す。それにしても個性が「誰々みたい」になってしまうのは悲しいが、悪くはない。B-2”Concer Fever”はソフトなバラードでなかなか。牛乳配達のB-3”Milkman”は軽くトロピカルタッチ。ジム・ゴードンのドラムスはなんともダイナミック。亜米利加賛歌B-4”Sweet Amerca”の望郷タッチとジャケの小学校とは繋がっているのだろうか。学校の鐘もSEに。続くB-5”Jack And Jill”も彼の歌声が優しく響く少年時代を愛おしむ佳曲。ラストはカッティングの仕方まで、またまたキャット・スティーブンスみたいなバラード、B-6”My Last Blues”。
全編グリーンフィールドの曲はなかなかのクオリティ。サビで必ずゴスペル的に盛り上がっていくのは南部ノリ。突出した曲が無かったから残らなかったのか。