/ ろっこうおろし ( 1972 )
これもNAKED LINE第2集より。「ジプシー・ブラッド」がバンド名。こちらは、べったりした日本的叙情を廃したカントリーロックの大名作。とは言え石津盤と同様B級ではあるのだが。ミッキー・カーティスのプロデュースでモウリ・スタジオで録られたもの。音が良い。盤はメンバーの中村ひろあき、速水きよし曲で占められている。後に速水は井上堯之バンドに加入する。また、ギタリストの永井充男はスタジオミュージシャンとして成功する。ジャケは赤瀬川原平が担当。
A-1”忘れかけてた言葉”から既にコーラスがいい感じ。ボーカルにははっぴい大滝の影響−さらにそのルーツはエンケン−が少なからずある。コーラスといえば清涼感のあるA-2”郵便屋さん”がとても良い。ウォッカ・コリンズのメンバーでもあり、後にジョーン・ジェットの”I Love Rock’n Roll”を作曲することになるアラン・メリルがピアノ参加。ロッキンなA-4”九月の恋”ははっぴいえんどファンにもたまらない音ナリ。A-6”自転車に乗って”は脳裏にあったかないかはわからないが、高田渡と同名異曲。高田渡を思わせるフィドルが入っているから、やはり意識の上にあったのか?A-7”言葉を下さい”のブルーグラス的展開は当時の日本では珍しかったはず。
ボーナストラックはアルバム未収録シングル。イーグルス的なカントリーロックM-11”冥土イン・ジャパン”はなかなかのめっけもの。ただし、擬似ジプシー歌謡M-13”恋のジプシー女”は流れを崩す仕上がり。ラストM-14”愛しているんだ”の永井のパキパキギターが良かっただけに残念。とはいえコレ、買いの盤。