/ Wonderful Deeds And Adventures ( Epic 26510 /1970 )
"A Collections Of Stirring Scenes And Moving Accidents(感動的な場面と心動かされる出来事のイロイロ)"などという副題にこちらが心動かされる一枚。プロデュースは夫Leslie Carterさん。Susanと彼との共作は2曲に留まり、それ以外は当時のフレッシュなソングライターの楽曲を取り上げている。編曲はBS&Tでトロンボーンを吹いていたDick Halligan。
なんと言ってもBillie Hollidayの”Lady Sings The Blues”をLaura Nyroの”Billy’s Blues”、”Lonely Woman”で挟み込んだA-4”Medley for Billie Holliday”がいい雰囲気。さみしげに澄んだSusanの歌声は友人でもあるらしいLauraに良く似ているが、こういう解釈はウレシイもの。BS&Tでも活動していたRandy Breckerが参加していてジャジーで都会的ないいソロを聴かせる。Susanはカリフォルニア生まれらしいが、NYレコーディングならではの雰囲気がそうは思わせない。Lauraが歌ったらこんな感じだろう、なんて妄想してしまうのも失礼だが、冒頭のニューロックな雰囲気のA-1”Bluebird”(もちろんバッファロースプリングフィールドの)にもビックリ。エレクトリックギターが入らず、ホーンや弦やらが入ってくるのは実にセンスが良い。さらにDonovanのA-2”Young Girl Blues”もなんともジャジーでLaura+Billie降臨。A-3”Temptation ‘Bout To Get Me”はThe Knight Brothers 1965年のR&Bヒット。
さらにB面に行くと、ソロデビュー前のJames TaylorのバンドFlying Machineの名曲B-1”Brighten Your Night With My Day”が。アレンジもいい出来です。ちなみにJames Taylorさん、フォークやソウルが立派にブレンドされた、ダニー・クーチとのFlying Machine時代のヒップな音はCDでも聴けるようになったが、コレ、同時代イーストコーストのThe Fifth Avenue Bandなんかと並べて味わいたくなる代物。それにしてもかの”Fire and Rain”で失意のJTは、「甘い夢とフライングマシーンも粉々になってしまった」と歌っているが、ポシャったバンドのことまで歌うなんてほんとに個人的なハナシなわけで、くれぐれもカラオケなんかで歌ってはいけないと思う。と、まあそんなことはどうでもいいとして、JTのこの曲がまだ続いているのかと勘違いしてしまったがもう次の曲、ソウルフルな盛り上がりをみせるオリジナルB-2”I Need A Good Man Bad”はアレンジもカッコよく、良い出来だ。この人は他人のオリジナルから着想を得て作曲し、繋げて歌うのが得意なのかも、とふと思った。The Beatles ホワイトアルバム収録のB-3”I’m So Tired”もすっかりスタンダードっぽい冒頭から一転して、Laura風アレンジが施される。空気を切り裂くエレキギターのソロなんかもいいですよ。B-4”The Old Country”は冒頭のウッドベースがそそるNat Adderleyのジャズ曲。さみしげな歌がやはりいい。B-5”Illinois”はThe Everly Brothersのバーバンク名作『Roots』に収録されていたRandy Newmanの曲。ラストB-6”Jam Session:Cruising With The Blues”はジャズロックといった趣きでヒップな演奏がタマラナイ。ギターソロはクレジットは無いものの、謝辞から推測するにElliott Randalっぽい。
所有の本盤は空輸モノながら、2ドルというだけあって盤はと言うと傷だらけのローラ(似)。ツマラナイ冗談はさておき、美しい音で堪能してみたいものです。