いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

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John Edward Beland

markrock2009-08-23

/ Same ( Scepter Records / SPS5113 / 1973 )


ジョン・ビランドといえば、スワンプウォーター、フライング・ブリトー・ブラザーズのメンバーとして知られる、カントリー・ロックの祖の一人。グレン・フライJ.D.サウザーのデュオ、ロングブランチ・ペニーホイッスルと一緒に回ったツアーで、リンダ・ロンシュタットと交友を深め、彼女のバックバンドへの参加を要請され、それがスワンプウォーター結成に繋がり…なんていうカントリー・ロックの伝説の一幕。もう40年ほど前の昔話になるわけだけれど。


さて、その後もリック・ネルスンやガース・ブルックスドリー・パートンらといい仕事をしていくわけだけれど、そのジョンにもソロアルバムがありまして。シェプターからのリリースということもあるのか、ポップな味付けがあり。それが純然たるカントリー・ロックファンには受けが悪い所なのか。


A-1”Banjo Man”は自らもピアノを基調としたSSW名盤を残しているポール・パリッシュがピアノと弦アレンジで参加した、ロマンティックなバラード。ジョン自身が味付け的に弾くバンジョーがいい感じ。A-2”Back On The Road Again”ではモンキーズを思わせるボーカルを強調したミックスとカントリー・ロッキンな音が堪らない。オールディーズ・ライクな所も、後にリック・ネルスンのバックを務めるのは必然、と感じる。A-3”The Music Shop”は一転してジョン自身のピアノによる音楽との出会いを語るあったかいバラード。トロピカルなA-4”Jamaican Bound”をはさみ、ラストはA-5”Turnin’ Out Right”。これでやっとカントリー・ロック・ファンはゴキゲンになるはず。スニーキー・ピートがスティールを弾くイーグルス・ライクな佳曲。注目はドラムスを叩くジョン・リヴィグニという人物。この人、当時はモータウン所属の白人バンド“パズル”に在籍しており、後に白いスティーヴィー・ワンダーとしてフリー・ソウル界隈で持て囃されるソロ名作を生むジョン・ヴァレンティその人。


さらにさらに、アメリカを代表する作曲家スティーヴン・フォスターのB-1”Old Folks At Home”の短いイントロダクションに導かれるB面はこれまた心地よく切ないカントリー・ロックB-2”Going Home”を含んでいて。良い曲。これもジョン・リヴィグニとスニーキー・ピートが参加するLAセッション。続くこれまたロマンティックなピアノ・バラードB-3”Love Don’t Let Me Down Again”も佳曲。さらに、ストリングスも入ったミディアム・カントリーB-4”Prairie Breezes And Ballerinas (For Sarah)”をはさみ、B-5”A Song For Hank Williams”が。冒頭にはラジオ音源を模した形でハンクの”Love Sick Blues”が流れるんだけど、なんとジョニー・ティロットソンがゲスト参加して唄っている。なんでもリンダ・ロンシュタットとジョニー・ティロットソンのアイデアで出来た曲だとか。ジェリー・ジェフの曲みたいな味わいがあって。ラストはその名の通り静かなバラードM-6”Goodbye”でしめやかに。


余り評価されていないようにも思えるのが悲しいところだが、ポップ・カントリー好きな人なら、トテモ良い盤だと思えるはず。