いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

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Michael Bacon

markrock2005-05-07

/ Love Song Believer (Monument KZ-33383  / 1975)


針を落とすと同時に暖かなピアノとともにまろやかな歌声が聴こえてくる、A-1”Texas Cowboy”。SSWものの内ではかなり見事な部類に入る完璧なバッキングにもう耳を奪われてしまう。ドリーミーカントリーとでもいうべきこのサウンド、プロデュースを務めるのは主役Michael Baconに加え、南部メロウ男Rob Galbrath (E.Piano)、そしてBat McGrathとのデュオ作も印象的なDon Potter(Ac.Guitar)。この3者にLarry John Wilsonを加えた面々が The Fidgettesと名乗りコーラスに加わっているのだが、これがなかなか全編好演。ちなみにA-1のみ自作ではなく、現在ニューメキシコ、タオスで活動を行う女性ソングライターMary Ann Duweの作。A-2”Big Mouth”はイントロのMac Gaydenのソロが絶妙。ライトなボーカルに軽いソウルタッチも感じられリラックスできる佳曲。Liv Taylorライクな和み系サウンド好きにはど真ん中。A-3”Easy Come, Easy Go”はサビは哀愁歌謡曲だが、なかなか泣かせる出来。A-4”We're In Love”はR&B風。そのゴキゲンな南部サウンドとスライドギターが中だるみさせず、爽やかなコーラス(+低音ベースボーカル)もあってなかなかポップ。ラストA-5”Wrong Rainbow”も、Bertie Higginsまでいかないまでも歌謡曲風。BaconのチェロとRobのエレピが、日本で言えば、10年早かったサウンド。布陣に反してさほどカントリーっぽさがないのがこの盤の特徴か。タイトル曲B-1は小編ながら、小粋なコード進行が実にムーディー。B-2”A Simple Argument”は初めてそれらしいカントリーバラード。しかしコーラスがなんともドリーミー。泥臭さは皆無で、B-1と同様、家族向けテレビドラマなどで使われそうな感じ。B-3”Bring 'em Home”はD.Bergen Whiteのストリングス・ホーンアレンジで聞かせるびっくりのディスコもの。正直アルバムの流れを変えてしまって余計。次はまた一転カウボーイカントリー(B-4”Yodeling Sam”)。ヨーデルが長閑。最後B-5は落ち着いたカントリーミディアム”Bill Molene”で幕を閉じる。

Michael Baconは本作の前にMonumentからBringing It Home(1973年)を出しているが、そちらがデビュー作。本作からのち彼は自身のレコーディングから遠ざかるが、85年にNY進出し、映画やテレビの音楽を手がけるようになる。エミー賞の栄冠になんと2度も輝いており、俳優の弟Kevin Bacon作品のスコアももちろん手がけている。現在はKevinとのThe Bacon Brothersとして音楽活動を再開し、Kevinが"Footloose"を歌っているライブ盤を含め4枚のアルバムをリリース。Jon Bon JoviやJonathan Edwardsの参加もある1997年の1stはおなじみRob Galbrathのプロデュースで、70年代カントリー/フォークSSWの良心を現代に受け継いだ好フォーク/カントリーロック作。ボーカルタッチに同じ資質を持ったJames Taylorの”Rainy Day Man”の心温まるカバーも収録している。