/ …and GORDON ( ABCX 749 / 1972 )
ピーター&ゴードンの片割れ、ゴードン・ウォーラー唯一のソロ作。これがまたフォーク/カントリー系SSWファン必携の好盤!!ピーターがいなくて “and Gordon”というタイトルが笑えるが、そうでも言っておかないと、裏ジャケのボサボサ長髪に髭面がゴードンだとは判らない。
ピーター&ゴードンと言えば、ピーター・アッシャーの妹がポール・マッカートニーと付き合っていた関係で、“A World Without Love”や“I Don’t Want To See You Again”と言うレノン&マッカートニー曲をレコーディングする幸運に与った二人。遅れてきたイギリスのエヴァリー・ブラザーズと言った感じか。そう言えばエヴァリーで思い出したが、ピーター&ゴードンのデビュー盤『In Touch With…』に収録されていたトラディショナル”Barbara Allen”と”Willow Garden”の2曲、同じくエヴァリー・フォロワーであるS&Gの片割れ・アート・ガーファンクルが1973年に初のソロ作『Angel Clare』で同様取り上げていた。
さて中身だが、A面はゴードンの自作曲で纏められ、早速個性を発揮。冒頭A-1”The Saddest Song”からすでに激甘のカントリーサウンドが繰り広げられる。エリック・ワイズバーグ&ザ・デリヴァレンスのギタリスト、チャーリー・ブラウン(自身も名ソロを残している)のソロが最高。エリックももちろん参加。本作のプロデューサーは当時White Cloudで活動していたトーマス・ジェファーソン・ケイ(ちなみに彼の70年代前半のソロ2枚、スティーリー・ダン・ファンには見逃せない)だが、この盤はそのWhite Cloud勢がバッキングを務めている。エリックやチャーリーもWhite Cloud盤に参加していた。その他A面はA-2”I Won’t Be Your Man”も佳曲。
B面に行くと、こちらはトーマス・ジェファーソン・ケイのB-1”Rocky Road To Clear”(バンジョーが入るが流石にスワンピーさもアリ)、B-4”Collection Box”やラウドン・ウェインライトⅢのB-3”Be Careful. There’s A Baby In The House”など外部作が主。自作はピーターとの共作B-4”Stranger With A Black Dove”のみ。メロウなフォーキーサイド(A面)とこちらスワンピーサイド(B面)は好みが分かれるところかも。個人的にはダンゼンA面!
本作、コーラス参加ではジーン・マクダニエルズの顔も見える。ゴードンは地味と言うか、ジェイムス・テイラーやリンダ・ロンシュタットを手がけて名プロデューサーになっていったピーター・アッシャーとは対照的な印象。個人的には本作、ライチャス・ブラザーズで言うところのボビー・ハットフィールドの唯一のソロ盤なんかと同様の位置付けか。