*[日本のフォーク・ロック] 寺内タケシとブルー・ジーンズ / レッツ・ゴー・エレキ節(KING / 1965)
訃報が続きますね、エレキギターの神様・寺内タケシも…小林亜星→寺内貫太郎一家→寺内タケシ、と頭の中でつながってしまう。82歳でらっしゃったとのこと、もう少し年上だったようなイメージもあったけれど。母が家元をやっていた三味線からギターに入ったという彼の三味線エレキサウンドは、まさに和洋折衷。日本の心を説く和魂洋才を地で行った最後の人だったようにも思える。津軽三味線のように掻きむしるギターサウンドは、どう考えても縄文系。しかし“津軽じょんから節”をはじめとした民謡や、ベートーベン”運命”のようなクラシックをエレキ化したきっかけは…かつて「エレキ=不良」とラベリングしてエレキ禁止令を出した、(今でいう自粛警察的な)ヒステリックなニッポンの保守岩盤支持層みたいな人たちが、民謡とクラシック好きだったことに由来するんだとか。
しかし民謡、クラシック、歌謡曲、ロック、エレキインスト…何でもござれで料理しつつも寺内色に染まるのだから恐れ入る。1982年にキングから出た10枚組(『華麗なるギターサウンド』)をCD化したやつなのかな、『エレキギター大全集』ってやつをよく聴きました。あとバニーズとの『レッツ・ゴー「運命」』とブルー・ジーンズの『レッツ・ゴー・エレキ節!』(手元にあるのは1978年の再発盤)は定期的にターンテーブルに載せる大定番だった。そう、加山エレキサウンドにも一役買っていたし!
寺内タケシとブルー・ジーンズ『ビート!ビート!ビート!=第1集』ってのもあるけれど、このジャケに映ってる左手前はワイルドワンズ結成前の加瀬邦彦ですね。そう、日本のハンク・ウィリアムス、カントリーのジミー時田のバンド、マウンテン・プレイボーイズにも碇屋長一(のち長介)、つまりドリフターズの長さんとともに在籍していた。この『ウェスタンハイライト』というレコードは1961年に出た10インチ。米軍基地で演奏すると、寺内がアメリカ50州の州歌をメドレーで演奏して、ホームシックになっている米兵の喝采を浴びた、というエピソードもありました。
そういえば1984年のライブ盤に入ってるYMOのカバー”ライディーン”はそのメロディがそのまま寺内サウンドになっていて必聴だ。
近年まで、学生が行ける値段で…とずっと価格据え置きでライブをやられていた印象。最近足元見るような値段のライブばかりになってしまい悲しい限り。YouTubeで観れるから…とはいうものの裾野は広がり得ない。ギョーカイの方々は寺内の爪の垢でも煎じて飲んだ方がいいと思う。どうか安らかに。