/ no title (自主デモ 2010)
韓国系アメリカ人SSWのデモCD。音楽ライターをやっている友人、清水祐也くんから頂いた。Karen DaltonのCD解説も書いている彼はとっても感性の鋭い人だから、聴く前からその音を信用してしまう。
さてさて、これがまたとりわけ前半はアクースティックギターを基調とした素晴らしい出来なのだ。宅録らしい密室感があるのは、Danielの好みがEmitt Rhodesという所からも来ているのだろうか。その他にもJohn Faheyのファンだと言うんだから、相当のものだ。60〜70年代の匂いがプンプンするけれど、その肌触りはというと汗の匂いはなく、実にクール。Emittとはかなり色が被るかな。
録音は2007年〜2010年。珠玉の16曲が詰まっている。韓国の再発レーベルBeatballからも作品をリリースしているらしい(『layin' in the cut』)。そのフォーキー・サウンドは、うるさ型のオールド・ファンにも支持される要素があるんじゃないかな。ただし時折挟み込まれる、コレは上手いとは言えない前衛的なエレキギターの演奏には戸惑ってしまうかも。
個人的にグッと来たのは、エミット・ローズしているポップなM-2"Say Cheese"(そのエレキソロが入る曲ね)にシンプルな小品の体ながらコーラスも入って複雑な構成のM-3"Adam and Eve"、イギリス的なフォークの感触なM-10"Make like a Tree"かな。ピアノのM-12"Youth"や3フィンガーのM-14"Farewell to Thee"もなかなかだった。
あまり顔出しは好まないようだけれど、是非ライブを見てみたい。エイジアンとしての外見と音のギャップが意外性として映ってしまうのはここ日本では致し方ないのかもしれないけれど。CDでは感じられなかった汗の感触みたいなものもライブでは匂わせて欲しい。