いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

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『日本教育新聞』2019年3月18日 都筑 学(中央大学教授)「先哲から学ぶ人生の知恵」
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シアトルの中古レコード屋

*[コラム] シアトルの中古レコード屋

 

1か月ぶりの更新。気付けば新年度、慌しくも街中はフレッシュな活気に満ちておりますが。年度を跨いで10日間、仕事でアメリカ・シアトルへ。アメリカには大昔住んでいたことがあったけれど、今回行ったのは20年近くぶり。トランプのアメリカはもちろん初だったので浦島状態でもあった。スターバックスやアマゾン、ボーイングマリナーズの本拠地シアトルは人種的多様性をもち、地元TVも明らかな反トランプ色を出すリベラルな街。音楽的にはジミ・ヘンドリクスニルヴァーナを生み、グランジ震源Sub Popや近年リイシューで名を上げたLight in the atticなど有名レーベルもある(細野晴臣横尾忠則『Cochin Moon』の再発LPはどこの店にもディスプレイされていた)。そんなわけで、完全オフの土日にお仕事で出会った方のナビゲーションを頼りつつ、幾つかの中古レコ屋に足を運んでみた。f:id:markrock:20190330152646j:plain

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ちなみにアメリカでビニール盤が増産傾向、という話は知っていたけれど、これは本当だったと知る。レコード・ストア・デイで昨日は盛り上がっていた日本以上かも。広大な土地もあり、大きいことはいいことだ感もあるからか。ウォルマートみたいな大型スーパーにCDと共に新譜LPが売られていたし、Barnes&Nobleみたいな大型書店にもLPコーナーが復活していた。中古レコ屋にもお客さんが常時いて、日本に比べて客層が若かったのも驚きだった。カントリー・ミュージックの一角は流石におじいちゃんが漁っていたけれど(笑)。f:id:markrock:20190330143943j:plain

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まずはシアトルのダウンタウンから坂を上ったキャピトル・ヒルにあるEveryday Music。一番行きたかった店。レコ量が半端ない!!正直全部見るのは不可能だと瞬時に悟ったので、LPとカセット限定で掘る。それにしても安いなと思った。アメリカ・オリジナル盤は昨今日本で値段が高騰し、クラシック・ロックの類で盤質がいいと3000円くらいでしょうか。これが現地では高くて10~15ドル、盤質が悪いと3~4ドル、バーゲン特価だと50セント…まじか、と思いました。f:id:markrock:20190414103942j:plain

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持ってなかったジノ・クニコのアリスタ盤やクリーンネス・アンド・ゴッドリネス・スキッフル・バンド、デズモンド・チャイルドのLPも50セント。あとはバターフィールド・ブルース・バンド、PP&M、ブリューワー&シップリーのA&M盤、ダスティ・スプリングフィールドのアトランティック盤、CD時代のジェイムス・テイラー『Never Die Young』LP、ボズやポール・ウィリアムス、ジェリー・リオペルのオリジを1~4ドルで入手。ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースのジョニー・コーラのソロLPも新品で4ドルくらいだったので買ってみる。あとはマライア・キャリーの想い出の『MUSIC BOX』のカセット(笑)。これも3ドルくらいだったかな。

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お次はダウンタウンからバスで北上して、フリーモントというアーティストが移り住んでいるらしいアートな街。パブリック・アートがそこかしこにある。有名なサンデー・マーケットはそっちのけで中古レコ店に向かう。f:id:markrock:20190331125809j:plain

 

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Jive Time Recordsという店はこぎれいでスタイリッシュな感じ。店オリジナルのトート・バッグなんかも置いていた。店外99セントのバーゲン箱にエルヴィスの『Golden Records Volume3』のオリジを発見。コレ、ムチャクチャ音が良かった。あとはビーチ・ボーイズ『Little Deuce Coupe』のキャピトル・レインボー・レーベルのオリジ5ドル、The Who『Live At Leeds』の米デッカのオリジ7ドル(これも音が良かった)、ここからはちょっと高い気もしたけど、バーズの『Fifth Dimension』オリジ17ドルくらい、旅の記念に、と持っているのとマトリクス違いのエミット・ローズのファースト13ドル、ティム・バックリー『Look At The Fool』10ドル。ちょっとこの店では散財してしまった。そう、ビートルズの米キャピトルのオリジはアメリカでも高い、という事実に気がついた。平均15ドル以上するイメージ。これはむしろ日本で探した方がいいのかもしれない。f:id:markrock:20190414101821j:plain

 

最後は同じフリーモントにある、Daybreak Records。ここは安くて名店だった。f:id:markrock:20190331135345j:plain

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店外には激安カセットが陳列。店内に入るとボブ・ディラン『Another Side Of Bob Dylanの360soundのボロい米オリジが2ドルとか。バーズ『Younger Than Yesterday』のオリジは7ドル、ディラン『Bring It All Back Home』はオリジ持ってはいるけど一応10ドルで入手。ウェスト・コースト・ポップ・エクスペリメンタル・バンドのサード『VOL.III A Child’s Guide To Good & Evil』は初めて見たけどこれは10ドルくらい。フリート・フォクシーズっぽい音だと思った。

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あとはレス・ポール&メリー・フォードの『The Hit Makers』やBobby Gentlyの『Ode To Billy Joe』のオリジが99セント。1976年に”Happy Days”をヒットさせたプラット&マクレインのファースト『PRATT/McCLAIN』はマイケル・オマーティアン、スティーヴ・バリが手がけたダンヒル系列作で2ドル。あとはボニー・レイットの1989年の名盤『Nick Of Time』、フリーのA&Mオリジ『Fire and Water』ブラインド・フェイスのアトコ・オリジナルがそれぞれ3ドル。まあ他にも日本で大枚出したやつが激安で売られていましたが、そこはスルーで(泣)。

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30代くらいの店主の方に「東京から来たよ」なんて話していたら、何でもその方は明日東京に買い付けに行くんだと。どこに行くのかと聞くと、下北フラッシュ・ディスク・ランチ、渋谷・新宿のディスクユニオン…って私が普段行ってるとこじゃん!っていう。日本とアメリカでお互い逆のことをしてるのが、何だか、ね。「店のオーナーなのか」って聞かれたので「いやいやただのレコード好きの音楽ファンだよ」と答える。「お互いヴァイナル・ジャンキーだな」と苦笑した…というお話。レコードは当分の間なくなりそうもないと思った。

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