歌謡フォークとAORの絶妙なブレンド感覚は、アメリカならカントリー歌手が演ったプリAORみたいな。網倉一也のファースト『Listen To My Love Songs』。アルバムにも収録されているシングル「Good-Bye横須賀/レモン・プリンセス」のシングル盤を先日手に入れて(”レモン・プリンセス”には梅垣達志がコーラス参加)、なかなか良い!となりまして。そこでアルバムの方も早速入手した次第。
なんとなくアルバム・ジャケットの方に既視感があり、しばし考える。プロフィールにある好きなアーティスト「ボブ・ジェイムス」「イーグルス」「ジェイムス・テイラー」「ポール・サイモン」で全てを理解!ジェイムスとポールが参加したアート・ガーファンクルの"(What A)Wonderful World"収録の『Watermark』ですね。同年のリリース。並べるとちょっとシンメトリックで。
冒頭のタイトル曲”リッスン・トゥー・マイ・ラブ・ソング”はピコこと樋口康雄の編曲でタイム・ファイヴはコーラスで参加した美麗な1曲、LPも良音だった。村上ポンタ秀一、岡沢章、芳野藤丸、松原正樹、佐藤準らが参加したトラックと、ラストショーの面々(島村英二、河合徹三、徳武弘文、村上律、松田幸一)が参加したトラックを使い分けて、アメリカンな色を後者に負わせている。共通して参加しているのは器用な吉川忠英。今井裕、後藤次利というサディスティックスの面々も。石川鷹彦先生参加の2曲だけフォーク、というのもわかりやすい。とはいえ全体を通して、現在で言うところのシティ・ポップ直球良盤。シンガーとしても口当たりソフトで、SSWっぽいナイーブさがあるのも良いが、達者なメロディ・センスを特に買われたようで、アイドルへの楽曲提供がメインに。近年では井の頭公園の歌姫、あさみちゆきをはじめ、歌謡フィールドで数多くの楽曲を手がけている。郷ひろみの"マイレディー"や"How manyいい顔"も印象的。セカンド『SCENE』はシティ・ポップ再評価で昨年CD再発。2011年には久々の自演盤『振り向けば〜mydear〜そして明日も』をリリースしている。
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