いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

f:id:markrock:20190212213710j:image
いしうらまさゆき へのお便り、ライブ・原稿のご依頼等はこちらへ↓
markfolky@yahoo.co.jp

f:id:markrock:20190212212337j:image
[NEW!!]極北ラジオ石浦昌之の「哲学するタネ」が書籍化されました。 『哲学するタネ【東洋思想編】――高校倫理が教える70章』(石浦昌之 著)2018年9月発売!! ●石浦昌之著 ●定価:本体2500円+税 ●A5判(並製)384頁
詳細はココをクリック
注文はココをクリック

【書評掲載】
『情況』2018年秋号 田中里尚(文化学園大学准教授)「教えられぬことこそ語り続けなければならない―石浦昌之の実践について―」
『日本教育新聞』2019年3月18日 都筑 学(中央大学教授)「先哲から学ぶ人生の知恵」
ココをクリック

 金沢レコード・ジャングルにて

markrock2016-12-30



年末は親戚一同のいる金沢に帰省。北陸新幹線で本当に近くなったのだけれど、ビックリするほど街が変わっていて驚いた。タクシーの運転手さんの人懐っこさは変わっていなかったけれど。昔から思うけれど、余りお金儲けをするつもりがない(笑)。乗ってしばらく世間話をした後にメーターを押して、目的地の大分前にメーターを止めちゃうという。この辺の粋な所は東京には37年住んでいる限り今も昔もないと思います。でも色々話を聞くと、新幹線特需で駅前中心に開発が進んだけれど、ガイドブックやSNSで拡散される周遊コース(バス)以外の交通手段を利用する人は、ほぼいないとのこと。タクシーの利用者はちっとも増えていないらしい。確かに人の波がかなり限定された場所に集まっていて。しかもそこだけ飲食店の物価が高いという(笑)。情報が氾濫したこ世の中にあって、実は巧みに限られた情報だけを掴まされるようになっている。つまり、一部の人だけにお金が落ちる構造になっているということだ。この辺は日本社会の縮図かな。街の細部を見れば、数年前にはあった、時間が止まったような古本屋は三軒ともなくなっていたし、新刊の老舗巨大書店(うつのみや)は潰れていた*。売れないテナントはどんどん変わっていって、町の風景に店舗が一向になじまない。町がよそよそしくなるんですよね。それに、自動車を止められない中心地の繁華街がさびれて、イオンみたいな郊外店舗に人が集まっていたりも。イオンはどこ行っても入ってるテナントは一緒だし。まさに均質化。これまた日本全国同じような状況でしょう。確かに便利ではあるんだけれど。



* ただ、その跡地に「ロックの殿堂ミュージアムジャパン」が出来ることになっているみたいだけれど、グランドオープン時期は不明みたい。金沢は金沢工業大学内にPMC(ポピュラー・ミュージック・コレクション)という20万枚にも及ぶレコード・コレクションがあったりもします(http://www.kanazawa-it.ac.jp/kitlc/guide/pmc.html)。そもそもポピュラー・ミュージック研究の第一人者、三井徹さんが金沢大学の先生でした。



こんな新自由主義的な人間疎外状況の中で、人間らしさを辛うじて繋ぎ止められたのは武蔵が辻のレコード・ジャングル(笑)。金沢の中古レコードの老舗名店、町は変われど健在でした。イオンにはこんな場所ないよ、絶対に(笑)。やはり今回も全てのレコードをチェックし切れないまま、閉店時間になってしまった。まさにジャングル。ちなみに私のファーストとセカンドも置いてくれています。思えば、「レコードを聴いている」というだけで、その人を信頼できてしまう世の中だと思う(あくまで個人的には、ですよ…)。レコード聴くのひとつ取っても、その手間は実に面倒くさいですからね。いくら音が良いから、だとか何だとか言っても、そこまの手間をかけて聴きますか、という話で。もっと言うと「CD買って聴いている」と言うだけで、その人を信頼できてしまう世の中だとも思います。CDケースからCDを取り出して、プレイヤーに入れるのって、結構アナログな手間ですからね。奥ゆかしい位の手間。経済合理性に委ねられない部分があるか、ないか。この辺の感覚は、わからない人が今後増えていくと思います。

さて、今回のレコードジャングルでは…まずはボブ・ディラン『Oh Mercy』のアナログを。プロデュースをダニエル・ラノアに委ねた、現在のディランにも繋がる美学のある作品。リリースは1989年ですか。驚くほど時代の流れに耐え得る音作りになっている。あのしゃがれ声も、トム・ペティとの共演の頃からすると急激に声量が落ちた頃で。でも今聴くと、現在の声に近づいているのがわかる。Ring Them Bellsとか、Shooting Star、それにMost Of The Timeとか、大好きな曲が入っている。アナログの音もなかなか迫力があった。そういえば、ロビー・ロバートソンの復帰作もこの辺の時代だった。最近、日本盤LPと聴き比べるためにアメリカのオリジナルLPを買ってみたけれど、こちらは余り音に差が無かった。

さて、あとはセッション・ギタリストとして著名な今剛のソロ『スタジオ・キャット』井上陽水のバックなどでもお馴染みです。マイク・ダン、ロバート・ブリル、マーク・ジョーダン、マイケル・ボディカー、林立夫との共演。鋭いギターの音も素晴らしい。2曲H2O詞曲の歌モノがあって、Think About The Good Timesのグルーヴ感がなかなかカッコ良かった。

あとはオールマンThe Allman Brothers Bandの日本盤。洋楽の日本盤LPは米盤や英盤に音が劣るものが多いのだけれど(そのせいで日本で真価を知られないまま誤解されたミュージシャンもいる気がする)、1970年代前半のワーナー、アトランティックの日本盤LPはしっかりした音作りだと思う。日本人ミュージシャンに影響を与えた盤が多いのは、日本盤が出てたというのもあるけれど、その音の良さにもあったのでは?詳しく検証していないので勝手なことを言ってますが。そんなわけで、見つけるたびに買い直しています。しかしデュエイン・オールマンのギター…こんなのをリアルタイムで大音量で聴いたら、ぶっ飛んじゃいますよね。人生変わっちゃうなって、改めて。