しばらくぶりの更新ですが。合間を見つけては新作のプロモーションなども細々とやっているのだけれど、実感として、場としての小売店の基礎体力が無くなっているな〜という悲しい実感がありまして。某HMVが渋谷で中古専門店をオープン、というニュースにも、そりゃそうだよな、という。某老舗小売チェーンの中には、これだけメジャー離れが進んでインディー・シーンが面白くなっている状況にも関わらず、インディーは置けないとか言っているバイヤーさんもいて。イマドキそんなとこってあるのかな、と思いましたが、あるんですね…確かに大勢の乗降客を擁する駅ビルなんかで、狭いスペースながら昔の商売を頑なに続け、今で言えばアイドルものやらアナ雪やらのポスターを貼って客を待つ新譜店っていうのがそういうお店にあたるんですが、もはや斜陽感満載で。音楽文化をじっくり育てる、みたいな意識も余裕もないし、音楽に詳しい人がいるのかもしれないけれど、ちっとも見えてこない。そうなると、タイコ持ちじゃないですが、芽瑠璃堂さんみたいな音楽好きが集まる「場」を感じるWEBショップや、中古レコ屋に人は流れていきますよね…そういう店じゃなきゃ音楽好きにとってつまらないんですもの…
愚痴っぽくなりましたが、そんな時に栄養をもらいに行くのが下北フラッシュ・ディスク・ランチ!!行くたびに発見があるお店。レコード屋にはこんなワクワク感がなければな、といつも思うのです。
しょっぱなから涙もののJO MAMA『J IS FOR JUMP』が800コーナーに。シュリンク付き。いつかこんなバンドをやってみたかった。ワーナー初期のジェイムス・テイラーのキャロル・キングらが加わったバンドのブートDVDを昔観たとき、フォーキーどころか、やたらファンキーだったのを思い出すけれど、ジョー・ママの音なんですよね。ひととき大学時代を思い出す。さらに、こっそり見つけたら買っているLiza MinnelliのA&Mからの同名盤。ラリー・マークスのプロデュースで、ランディー・ニューマン曲3曲に、バカラック”Look Of Love”、夫となるピーター・アレンのクリス&ピーター時代の曲を含む好盤だった。さらにLPは持っていなかったNeil Sedakaの『Solitare』。グレアム・グールドマンにゴドリー&クリームがバックを務め、エリック・スチュワートがエンジニアを務め、10ccが全員参加、というのはよく知られたところ。Neil Sedakaは素晴らしいソングライターでシンガーだと思う。2000年代まで素晴らしい作品を残している。70〜80年代も捨てがたい。ほとんどの作品は集めたかなぁ。あと、Nancy Wilsonの大名作『Come Get To this』はジーン&ビリー・ペイジのプロデュース作で完璧といっても良い盤。なにげに1曲だけ混じっているジミー・ウェッブ曲”This Time Last Summer”がポイント高くて。でもテルマ・ヒューストンほどしっくり来ているわけでもなく、ウェッブの中では凡庸な出来なんだけど、それもまた愛おしかった。
300は大漁といった感じ!まず私の大好きなCarmen McRaeのポップス・カバー盤『Just A Little Lovin’』が良い音だった。これはCDを売っぱらってしまおうかと思ったほどでした。スパイラル・ステアケースの”More Today Than Yesterday”も入っているし。あと駄作がないGarland Jeffreysは1979年のA&M盤『American Boy & Girl』を、Ella Fitzgerald & Joe Passの名盤『…Again』はCDよりやっぱり良い。若きBilly Veraの1968年のアトランティック盤『With Pen in Hand』、Chad & JeremyのColumbia盤『Before & After』も買い直し。Miriam Makebaのチャド・ミッチェル・トリオとの共演を収めた1960年のRCA盤、Columbiaからの『It’s Uptown with the George Benson Quartet』はこの時期のコロンビアらしいジャケットデザインがたまらない。デヴィッド・フォスターがプロデュースし、歌詞にエルトン・ジョンの相棒バーニー・トウピンが加わったAlice Cooperの『From The Inside』は結構好きだった盤で、持っていたCDではこんな変形ジャケだとは想像も付かなかった。Guess Who関連と共に、SteppenwolfやJohn Kayのソロは見つけたら買うことにしているが、Steppenwolf『7』はアメリカ盤じゃないと買わない、と自分で決めていたらひょこっと見つかった。Gary Wrightの1981年作『The Right Place』は有名セッション・ギタリストのディーン・パークスがプロデュースに加わり、レニー・ワロンカー&ラス・タイトルマンの監修、そしてなにげに要人Jay Lewisのミックス&エンジニアリングとあって、ウェストコースト/バーバンクの流れでは個人的には落としていた盤。むっちゃポップAORじゃないですか。アンブロージアのDavid Packやイーグルス/ポコのTimothy B. Schmitもコーラス参加していて。恐れ入りました。さらに全く知らなかったAmerican Standardというピアノ弾きの1972年作。弦でデヴィッド・キャンベルなんかは参加していたけれど、Gary Richardsonはじめ参加メンバーは無名。しかししかし、1人ザ・バンドみたいな良さなんですよ!椿さんオススメコメントもありました。アメリカン・ロック恐るべし!さらに、コロラドの良心的フォークを感じさせるRocky & ChyAnnという男女デュオも知らなかった。Windsongからの1977年のリリース作でMilt Okunへのスペシャル・サンクスもあった。思わずジョン・デンヴァーの”故郷にかえりたい”を作ったビル&タフィを思い出してしまう。さらに、Cleo Laine & John Williamsの1983年の共演盤『Let The Music Take You』。存在すら知らなかった…けれど、ゾンビーズのRod Argentがプロデュースに加わっていて、Rodの曲やらジョン・レノンのImagineやら演っている。そしてそして、結構探していたロブ・ハイマン&エリック・バジリアンがフーターズ結成前にデヴィッド・ケーガンをボーカルに据えて組んだBaby Grandの1978年作。旧知でロブとバンドメンバーだったこともあるリック・チャートフとロブ本人の共同プロデュースで、アリスタからのリリース。ボーカルが力不足だけれど、後に80年代に入りパティ・スマイスでヒットする”Never Enough”も演っていて、アレンジも80年代の王道ポップ・ロックとなる後者盤を先取りしている。日本ではソニーのリリースだったわけだけれど、エピック・ソニーの音がまさにその音の日本版だったような気がする。しかしクライヴ・デイヴィスは金のなる木を見逃さない人だ。ロブ・ハイマンは後に、最近デビュー盤のエクスパンディッド・エディションが話題のシンディ・ローパーの”Time After Time”も書いた。
最後は100円盤でボブ・ディランとの近作での共作も知られるグレイトフル・デッドのRobert Hunterの1984年盤の2枚組『Amagamalin Street』の1枚だけを。ギターにJohn Cipollinaが加わっている。