/ Songbook Vol.2 ( Nonesuch / 2011 )
これは良かった!ランディ・ニューマンの弾き語り再録集の第2弾。パッケージのボブ・ディランの賛辞と共にある、CBSサンデイ・モーニングの「ランディ・ニューマンは我々世代のスティーヴン・フォスターであり、マーク・トウェインである」という一節は実に的を得ている。庶民的、大衆的、かつ亜米利加的な大作家であるという点で。2003年に第1弾が出てから『Harps and Angels』も挟んで、ずいぶん経つけれど、第1弾を聴いたときより、16曲たったの39分がより充実したものと感じるのはなぜだろう。
ニューマンのピアノ・プレイの妙とボーカルの調子の良さかな?と思ったりもする。こうした弾き語りを耳にすると、意外なほど巧みにピアノを弾いていることが判る。慎重に聴くと曲によってはちょっとしたミスタッチもあるけれど、パフォーマンスとしての歌を大切にしたのだろう。ジャケ写からしても、限りなく同録に近いのではないかと推測する。でも、これが堪らなく良いのだ。映画音楽も数多く手がけ、今は作曲家として大御所という立場に収まっているけれど、かつて名をあげたシンガー・ソングライターとしての面目躍如と言うわけだ。
未発表曲も多数収められたボックス『Guilty:30 Years of Randy Newman』に歌詞が含まれていなかったのはガッカリしたけれど、今回はしっかりと歌詞入りで、代表曲を中心に堪能できる。1970年の楽曲もあるけれど、なんだろうこの瑞々しさは。われわれ黄色人種を歌った”Yellow Man”にしても、皮肉屋と言われるけれど、そのユーモアと悲しいほどのおかしみが迫ってくる。アメリカ音楽の伝統に基づいた美しいメロディで紡がれる物語の数々。”My Life Is Good”なんてもう最高!しっとりした”Losing You”はジャズ・バラードみたいな風格もあって、”I Think It’s Going To Rain Today”の続編のような雰囲気を感じた。