いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

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 Chris Smither

markrock2011-05-31

/ Honeysuckle Dog ( OKRA-TONE RECORDS / 2004 )


クリス・スミザー。ポピュラー音楽の歴史に名を刻んでいる人では決してないのだが、70年代のシンガー・ソングライター・ファンならば、その道を通らない人はいないだろう。


70年代初頭の伝説的な2作以降、殆どリリースに恵まれなかったが、90年代から00年代にかけて、昔と変わらぬ端正な顔立ちのまま、意欲的な復活作を何作もリリースしており、3、4枚くらいは気付けば買って聴いていただろうか。この1作もそんな何気ないつもりで手に取ってみたもの。しかし聴いてビックリ、70年代のあの時代のアナログな質感に、参加陣にエリック・カズの名もあり、はて?て思ったところ…なんと1973年の未発表アルバムの蔵出し音源だったのだ!しかも2曲は1972年にベアズヴィル・スタジオで録音されたモノ。いやはや、驚いた。ブルーズの巧みな弾き語りを基本として、腰のあるフォークを聴かせてくれる作風は全く現在も変わらない。後々改めてリリースした作品も含まれている。


とにかく参加陣が凄くて、件のエリック・カズに加え、ローウェル・ジョージビル・ペインのフィート組、ジャッキー・ロマックス、マイク・マイニエリ、ロン・デイヴィスの名曲”It Ain’t Easy”には若きパティ・オースティンもコーラスで加わっていたり。楽曲もオリジナルやミシシッピジョン・ハートの翻案に加え、ポール・マクニール、エリック・フォン・シュミットといったフォーク勢、ランディ・ニューマンの”Guilty”まで取り上げている。


これが世に出なかったのは不運という他ない。スミザーの語り口はフレッド・ニール風のアシッド感もあるけれど、ジョン・ハート仕込みのギターがとても上手くて、オリジナル曲はブルージーでありながらも軽みがあって、とても聴きやすい。


プロデューサーはボニー・レイットなんかも手がけていたマイケル・クスカーナ。