/ So Far ( A&B Records / 2010 )
コレは全オールディーズ・ファンにオススメしたい奇跡の新作。あの伝説のソングライター・チームであるアンダース&ポンシアの片割れ、ピーター・アンダースの新譜だ。
一曲目の”Take This Song”(リッチー・コーデルとの共作)の転調を駆使したアンダースらしい甘酸っぱいメロディに、ディープでソウルフルなボーカルが滑り込んでくる辺りで涙腺は緩むわ緩むわ。正直金をかけたレコーディングでもないし、見た感じだと自主盤に近い趣きなんだけれど、これを待っていたんだよっていう感じ。メロディはどれも珠玉のきらめきで完成度はかなりのモノ。日本発売されたブライアン・ギャリのベスト盤で聴けた新録に彼の健在ぶりを感じていた向きには特にグッとくるかも。
アンダース兄妹1949年のホーム・アセテート・レコーディングをイントロに持ってきた”Eagle Park”、ヴァイデルズでの初ヒット”Mister Lonely”をおなじみケニー・ラグナ(ジョーン・ジェット&ザ・ブラックハーツのメンバーでもある)と再録していたり、キッスやリンゴ・スターのプロデューサーとしても名をあげたかつての盟友ヴィニ・ポンシアとブライアン・ウィルソンやデイヴ・エドモンズ、山下達郎もレコーディングしたあの名曲の続編(往年のコーラス・フレーズも後半で再演されている)”Before New York Became A Lonely Town”を歌っていたり(コレはヴィニのプロデュース)、気になる楽曲ばかり。
他にもゴフィン&キングの”Someone Who Believes In You”のカバーや故キャプテン・ビーフハートとの奇妙な共作”White Powdered Song”、フィービー・スノウへの提供曲の自演"If I Can Just Get Through The Night"なんてのもあり。
最近Big Pinkからソロ・アルバムがリリースされたり、”Do I Love You?”を提供したロネッツのリマスター・ベストが出たりしている今、是非とも再々評価して欲しいところ。
それにしても裏ジャケにエルヴィス・プレスリー”Harem Holiday”を書いた時にエルヴィス・プレスリー・ミュージックから受け取った印税証書みたいなやつが載っていて。アンダースにとって、エルヴィスに曲を書いたってのは、ソングライターとしての誇りであり続けて居るんだなあと嬉しくなった。
昨年10月にはピーターのキャリアを総括するライブが行われ、アンダース&ポンシアの再結成もあったらしい。