/ Raising Sand ( Rounder / 2007 )
昨日何故か急にツェッペリンが聴きたくなって。アルバムを全部ひっくり返して聴いてみた。語り尽くせないくらい良い曲と演奏があるんだけれど、”Gallows Pole”が改めて良かったなぁ。単純にカッコイイということだけでも十分だけれど、ブルーズやトラッドのルーツに通じているところが、さらにこのバンドに惹かれる理由の一つだったりする。大分昔になるけれど、レッドベリーのLPを中古屋で手に入れ、12弦のぶっといストロークと迫力のヴォーカルに耳を奪われつつ、何気なく聴いていたら”The Gallis Pole”って曲が飛び出してきて。もう、驚いた!”ハングマン”というフレーズでツェッペリンの”Gallows Pole”と同曲だと判りましたよ。
てなわけで、久々にロバート・プラントとブルーグラスの女王アリスン・クラウスの共演盤を取り出してきた。クラシック・ロックのオーディエンスや評論家筋から大いに評価されて、2009年にはグラミーをかっさらった(5部門!)。Tボーン・バーネットそのものといえる、独特の音像で紡がれるトラッド・ライクな音楽は、曲によっては単純なフォークやカントリーとも言うに言えない無国籍な空間を作り上げている。マーク・リボーがキーマンですな。その他にもデニス・クロウチ、ジェイ・ベルローズ、ノーマン・ブレイク、マイク・シーガーといったミュージシャンが参加している。
楽曲を見ると、元ザ・バーズの故ジーン・クラークの曲を2曲取り上げているのが目立つところ。他にもアルバム内では珍しくロッキンな仕上がりの”Gone Gone Gone (Done Moved On)”はなかなか良い。シングルにも切られた、ご存じエヴァリー・ブラザーズの曲。ロバートのシャウトも聴けてゴキゲンだ。トム・ウェイツやタウンズ・ヴァン・ザントを取り上げているのも嬉しいところ。ペイジ&プラントで1998年に発表した”Please Read The Letter”も再録。
いやはや、正直リリース直後は、Tボーン・バーネット臭さが正直鼻についたし、その地味さも気になったのだけれど、なぜか、何度も聴くと不思議とじわじわ来るのだ。
プラントは今年も『Band Of Joy』をリリースし、ルーツの追求に余念がない。そう言えば、漁船衝突の映像流出が方々で波紋を広げ、YouTubeがとうとう外交問題に切迫するという、そのメディアの特性をある意味じゃあ遺憾なく発揮した状況を迎えていて。しかし、半端ではないプラチナ・チケットと化したロンドンでのツェッペリン再結成(2007年)がすぐに映像で見られたときは、興奮したものだ。今更言うことでもないけれど、YouTube恐るべしですよ。