/ King For A Day ( Gigatone / 2010 )
ウーン、なんだか心地よくてずっと聴いてしまうんだよね。最近デイヴィ・ジョーンズも来日していたけど、コレはあのモンキーズのドラマー、ミッキー・ドレンツの新譜でキャロル・キング・トリビュート集。まあドラマーつっても、レコーディングはセッションマンにお任せだったのは有名な話。こんな風に言ったら失礼だけど、TOKIOみたいなバンド風ジャニーズものと似た構造。バンド風に「見せる」、と言う。もちろん当時はビートルズという明確なモデルがあった。でも、ミュージシャンとしても頭角を現す人がポロッと出てくるからそうしたアイドルバンドは面白い。グッバイだったら野村義男、モンキーズならマイク・ネスメスかな。
さて、で、ミッキー・ドレンツだけど、正直余り期待していなかったけれど、とても良い。歌唱力はなかなかのもので、キャロルの曲ってバラードなんかはあの”Hey Girl”にしてもそこそこの歌唱力が必要とされるんだが、結構熱唱してくれていて。ビックリしたなあ。デヴィッド・キャシディとか、日本で言えば郷ひろみとか、歌っているうちにトレーニングもあるんだろうけれど、歌唱力が上がってくると言うパターンなのかな。
選曲は”Take Good Care Of My Baby”、”Up On The Roof”、”Will You Still Love Me Tomorrow”、”Go Away Little Girl”といったオールディーズ時代の極上ポップスをふんだんに収録。個人的に大好きな”It Might As Well Rain Until September”や”Crying In The Rain”(妹のココ・ドレンツとのデュエット)も入っていて嬉しいところ。マン&ウェイルの”You’ve Lost That Loving Feeling”をイメージして作ったのであろう””Just Once In My Life”は本家ライチャス・ブラザーズのビル・メドリーと一緒に歌う。魅惑の低音は健在だった。
さらに、こういうキャロル曲集ではオミットされがちなソロ時代の楽曲”I Feel The Earth Move”や”Sweet Seasons”も収録されている。
聴いていたら、キャロルの来日公演で歌われた” Pleasant Valley Sunday”を思い出した。モンキーズがこの曲をヒットさせたのは1967年だった。それから43年が経って…モンキーズのメンバーからこんな素敵なプレゼントが届けられたというわけだ。プロデュースは、ブライアン・ウィルスンのバックアップで知られる巨漢ジェフリー・フォスケット。コーラスはビーチ・ボーイズを思わせる瞬間もあって、最高!(スペクター・サウンドの"Just Once In My Life"なんかね。)ギターはというと、久々に名前を見た、ジェフ“スカンク”バクスターが全編生々しいエレキを弾いている。