/ Same ( Tulsi Records / 2009 )
Paul Simonの息子の37歳という遅咲きデビュー作。Paulの作品にも参加していたので名前だけはお馴染みだったかもしれない。
Johnの2世Sean LennonやLowellの2世Inara Georgeも参加した本作は、プレッシャーと戦わざるを得ない人生からくるものなのか、ナイーブな2世らしい作だ。こんな儚げな2世作を今まで何度か耳にした。
4曲のプロデュースで、Bob DylanからLeonard Cohen、らを手がけたBob Johnstonの名前が見て取れる。なんでもHarperはBuffalo SpringfieldやGram Parsons、The Byrds、そしてDylanの『Nashville Skyline』にインスパイアされたとのこと。それが本作の柱を形作っているカントリー・ロック・サウンドに繋がってくる。何しろ故Clarence WhiteとLloyd Greenらとの共作もあるんだから!
冒頭のトラッド"All To God"から、悲しげなメロディに張り詰めた震え声が重なる。歌声の感触はArt Garfunkelに似ている。それはもろにS&Gしている3フィンガーの"Wishes And Stars"で明らかになる。でも呟くところは親父Paulの繊細さが覗いたりして。
ミュージシャンではSteve Gadd(Drums)や親父Paul(High Strings Guitar)、Steve Nieve(Piano、Theremin)、Marc Ribot(Guitar)も参加。Sean参加(Drums、Celeste)のトラックではYuka Hondaの名もある。
また、Paul Simonとの共作が"Ha Ha""Tennessee"、"The Shine"の3曲あり、"The Shine"(Inara Georgeとのデュエット)はPaulの元妻Carrie Fisher(『スターウォーズ』のレイア姫)もソングライティングに加わっている。とは言え、HarperはPaulの初めの妻であるPeggyの子だ。
素晴らしい曲はペダル・スティールの効果が絶妙な"Shooting Star"。コレは凄い曲。
先ほどもチラッと述べたとおり、Bob Johnstonのプロデュースものはナッシュビル録音で往年の名プレイヤー、Charie McCoyやLloyd Green、Mike Leechなんかも参加したインディーなカントリー・ロック風味で、これは抜群に新鮮! Paulとの共作"Tennessee"が白眉か。カントリーのバンドの音が抜ける部分を聴くとPaulらしいメロだと判る。
ラスト"Berkeley Girl"は3フィンガーの弾き語りでチビリますよ。
http://www.clashmusic.com/feature/the-sound-of-simon-harper-simon