/ Welcome to Hamilton Camp ( Warner WS1753 / 1969 )
Hamilton CampがBob Gibsonと共に組んだデュオGibson & Campを、若き日のSimon & Garfunkelがモデルにしていた、というのは有名な話。そんなわけでS&Gのファーストアルバムの冒頭には、ゲイト・オブ・ホーンで聴いたであろう”You Can Tell The World”がGibson & Campを彷彿とさせるアレンジで配置されていた。
さて、この盤はというと、スターダムにのし上がったS&Gの楽曲を逆にHamilton Campがカバーしていることに注目したい。まず一曲目はA-1”America”。イエスのヴァージョンをはじめカバーはあるけれど、ここでは弾き語りとハープで、切々と歌っている。とってもしんみりと良いのだ。もう1曲はB-4”April Come She Will”。ライナーを読むと、この時点でPaulのことはよく知らなかったようだが、Paulよりちょっと上の世代でありながらにして、彼の映像的かつ詩的な音作りの才能を、大変に気に入っていたようだ。
全曲、Campの弾き語り。コーラスも自分でオーヴァーダブしたものだ。クレジットに、”Including mistakes”と書き置きした上で、played and performed by Hamilton Campと書いているのがなんだか可笑しい。
他にも『Pathes Of Victory』(1964)で沢山カバーしていたディランものをここでも。”I Shall Be Released”がそれに当たる。これまたとても沁みたなあ。又一つ好きなヴァージョンを知ってしまった。
他にもPeter LaFargeの定番”Ballad Of Ira Hayes”とか、Bob Neuwirthの”Trout”、Leonard Cohenの”Hey, That’s No Way To Say Goodbye”なんかを取り上げている。Patrick Skyの詩や曲も2曲あった
そうそう、Campのオリジナルも棄てがたくて、マイナーボッサなB-5”Honey Wine”なんてめっけものか。
ちなみに、“スタートレック”シリーズをはじめアクターとしても多くの出演作を残した彼だが、2005年に惜しくも亡くなっている。