27/03/03 ( TONETONE HRAD-00011 / 2006 )
いやはや、奇跡の音源が出てしまいました。2003年3月27日にNHK-FMの番組「ライブビート」で録音された渡・漣の親子共演盤。鈴木慶一さんがオビを書いていたり、出る前から注目していたがこれほどのモノだとは。没後のリリースラッシュの一種と思ったが買って正解です。(ちなみに今年リリースの、URC音源の集大成+井の頭公園での和みライブを収録した『高田渡アンソロジー』も必聴)
とにかく酒断ち後ということもあり、ボーカルの安定感とカクシャクとしたフィンガーピッキングが絶品!集大成とも言える代表曲の数々を次々に披露。漣氏のスティールでのサポートも完璧と言えるほど息が合っていて、今まで見た中での漣氏のプレイでは一番好きになれるもの。素晴らしい。そしてそして、この盤のいいところは落語を思わせる絶妙の語りをシッカリと収めてくれていること。相当オモシロイです。さらには公録中にも関わらず「ちょっとトイレ行って来る。あとなんか適当に弾いといて」なんてそりゃないっしょ。わはは。最高だ。
最近、吉祥寺が誇るフォーク歌手である松田亜世のライブに際し「渡さん」をテーマにラジオ収録する機会に恵まれた。亜世君と話していて思ったのだが、これほど語り始めたら止まらなくなるよな、いとおしい歌手はいないということ。高田渡の愛した老舗の焼き鳥屋「いせや」が老朽化でいずれビルになっちゃうなんてショッキングなニュースも亜世君から知らされたのだが、高田渡の記憶・匂いが消えてしまいそうで恐くなる。でもそんな時だって、本盤は心強い良薬となってくれそうだ。
「ごあいさつ」レビュー
http://d.hatena.ne.jp/markrock/20050417
あと、土曜日にBSサタデーライブなる春の新番組を見たが、なんとラインナップはレイナードスキナードとイーグルス。個人的に要注目は後者。『ならず者』リリース直後の1973年、イギリスBBCでのライブだが、これには驚いた。面子はバーニー・レドン、ドン・ヘンリー、グレン・フライ、ランディ・マイズナーのオリジナルメンバー。初期の演奏シーンを見るのは初めて。現在の“イーグルス史観”からすると、バーニー・レドンはロック化についていけなくなったチョイ役ブルーグラスギタリストってなヒドイ扱いだったりするのだが、思いっきりメインを張って一番目立っている。ジーン・クラークとの共作”Train Leaves Here This Morning”や”Earlybird”を堂々と歌い、他のメンバーの作品でもカントリーロックの真髄とも言えるエキサイティングなギター/マンドリン/バンジョープレイをこれでもかと聞かせる。イーグルス昨年の再結成ライブでの1st、2nd楽曲の演奏は、音作り云々というよりも出せているグルーブにレコードで聴けるカラッとした感じがなくなり、ベタっとしているように感じられたのだが、レコードで聴けるいかしたグルーブは全てバーニー・レドンの為せるワザであったのかと再認識。やっぱりカントリーロックな音はマンドリンなんかも入るとウレシイ。また、”Take It Easy”の2番のAメロをハモっているのはランディだったのか、とか知っているようで知らなかった点も色々と。バーニーは色んな意味でバーズにいたクリス・ヒルマンみたいな感じですね。