いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

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 生田敬太郎 

markrock2010-01-14

/ 凱旋 ( TEICHIKU / 1975 )


生田さんのレコードで最後まで手に入らなかったのはコレ。昨年末にひょんなことから入手できた。


生田さんと言えば昨年瀬戸口修さんのマキシシングルのレコーディングにコーラスで参加させていただいた際、お会いして。実はさらに昔、元古井戸の加奈崎さんのライブのお手伝いをさせて頂いた際、お会いして朝まで飲んだこともあった。


気さくで飾らないとても素晴らしい方なのだが、もうとにかくその存在から既に、ブルーズ・フィールがビシビシと伝わってきて。ギターを手にして唸り出せば、もうホンモノですよ。


さて、この盤。スタッフはエレック時代の仲間が数多く参加。竹中尚人(チャー)と佐藤準というスモーキー・メディスン組に村上(ポンタ)秀一、松田幸一島村英二、村上律ら。それにコーラスではなぎらけんいち、よしだよしこ、中沢厚子、丸山圭子伊集加代子らが。


かつて“ソングライター・ルネッサンス”シリーズのテイチク編でCD化された竹中尚人(チャー)編曲のA-1”夜がとばされそう”はじめ、サウンド的にはエレック時代より大分洗練されてきた感じ。音も良い。でも、当時は売れ線を意識してかシングルを切ったのはA-2”夢は戻り続く”。4畳半歌謡っぽい作で、瀬尾一三アレンジは正直いま聴くと臭すぎるきらいもなくはない。でもそれを除けばA面、フォーキーなA-3”ひとりぼっち”(なぎらの詩)、3フィンガーに始まるホーボー風失恋ソングA-4”そよ風の一束”(コレ、結構沁みた)なんてのはなかなか良い。そうそう、なぎらの代表曲となるカーター・ファミリーの日本語版A-5”永遠の絆”はなぎらとのデュエットで収録。B-4”からまわり”もそうだったけれど、こういう王道のカントリーを演るのはちょっと以外だった。そういえば同名のなぎらのライブ盤(タモリ司会)にも生田さんが参加していた。


お次はB面。早速ストリングスに彩られたソウルフルなバラードB-1”朝”に驚く。さらに、白石ありす詩のB-2”それでふたりは”はたくろうなんかを髣髴とさせるフォークロック。でもメロディがそうなのであって、テナーサックスが入る辺り、かなりリズム&ブルースっぽいアプローチで演っている。チャー編曲のファンキー・ロックなB-3”散歩Ⅱ”もそう。RCサクセションに一時期在籍していたという彼の音楽嗜好(と同時に、RCに収まりきれるはずの無い強烈な個性)が見て取れる。ラストのディラン風弾き語りB-5”俺とあいつ”は隠れた名曲!


この後、彼は“およげたいやきくん”のオリジナルシンガーを務めるものの、レコード化の際に子門真人版に差し替えられるという不運などにも見舞われ、彼の音楽性を音盤を刻み込む機会にそう恵まれない。もちろん加奈崎芳太郎とのK2ユニットや斉藤哲夫との共演盤など、活動の一端はうかがい知れるのだけれど。それがそれが、2008年突如としてバンドMole’s Soulを率いた最高傑作『息吹』http://d.hatena.ne.jp/markrock/20080517)を発表する。昨年12月のエレック唄の市2009ライブではチャーを従えてそのバンドサウンドを再現してくれたのだが、コレはもはやファンクバンドとしか思えない音で、本当に本当に、素晴らしかった!