/ Same ( 東芝EMI / 1974 )
明けましておめでとうございます。本年も当ブログを何卒宜しくお願いいたします。今年も音楽馬鹿な一年にしていきたいと思っています。
ということで今日はトランザムを聴いている。なぜかと言えば、トラ年だからとかではなくて、昨日植草甚一のことを書いたけれど、このトランザムのデビュー盤は植草さんがライナーを書いているのだ。それだけで買ってしまった。メンバーはハプニングス解散後のチト河内、篠原信彦、トメ北川に、篠原がハプニングス後に参加したフラワー・トラベリン・バンドの石間秀機、そしてフォー・ジョー・ハーフにいた後藤次利という凄い布陣。作詩は全編ハプニングスのクニ河内が担当。
トランザムというと、売れたのは新六文銭繋がりで拓郎のカバー”ああ青春”だったりしただけに、ロックバンドながらフォークに迎合してしまった中途半端なバンド、という位置づけになってしまったいるが、コレは惜しい事。ＣＭやドラマの仕事もあったし。しかし、このファーストを聴く限り、海外ロックのエナジーを十分に伝えてくれる日本語ニューロック・バンドとしては、かなり注目すべきだと思える音。植草さんが日本のロックバンドを聴いて「新しいところに行きつつある」と思ったのは初めての経験だった、と述べているのもうなずける。ただしその後が続かなかったから、植草さんの期待に応えられたがどうかは微妙なんだけど。
後藤次利とトメ北川が共作したA-2”ドライブ”はミカ・バンドっぽいファンキーなブツ。とにかくリズム隊が鉄板なので、全体的に歌詞はとってつけたようで印象が薄い。でもバッキングの音だけでも十分聴ける音。意外と石間のアコギが活躍するものが印象深かった。まず、篠原の作ったA-5”もう何も……”はアコギ一本のリフで盛り上げていくカッコイイ一品。英詩のB-2”シーソー”もなかなかだった。日本のポピュラー音楽がその先進みゆくことになる方向とは全く逆なんだけど、この音でずっとやって欲しかったもの。B-4”ノートルダムのせむし男”もロックシコードの
正確なピッチのロック・ボーカルを聴かせてくれるトメ北川は本作後に脱退している。
