/ End Of The Century ( Rhino / 1980 )
ラモーンズ。実にイカしたロックンロールバンド。曲の短さも含めて実に愛すべきバンドらしいバンドなんだけど、ポップスファンにはフィル・スペクターがプロデュースしたこの『End Of The Century』と、グレアム・グールドマンがプロデュースした『Pleasant Dreams』は外せない名作。2002年にライノからリマスターが出たのだけれど、ボーナスの方が本編より多いものがある位見上げたサービス精神に貫かれていて。
今日聴いている『End Of The Century』の冒頭、ジョンが死ぬと言うロックンロール・エラの終わりを予見したようなM-1”Do You Remember Rock’n’Roll Radio?”は何時聴いても良い。ロックンロール祭りっすよ、この音。だいいち本作、鬼才ってかとうとう殺人者になってしまったフィル・スペクターが80年代にマトモに手がけた唯一の(最後の)作品なんだし。ウォール・オブ・サウンドの80年代的展開はこう聴こえるのでありまして。大滝よりも旧時代的なのが面白いけれど、とんでもない音圧!!エリー・グリニッジ/スペクター作のM-7”Baby I Love You”のカバーもあり、こちらはドラムスのエコーがやたらと印象的だが、愛すべきカバーなのかも。ラモーンズだと考えるとトロいけど。
あと、ビーチ・ボーイズ的なポップさを持つM-3”Danny Says”も最高。ボーナスのデモM-14ではなんてことのないロックンロールなんだけど、こんなバラードに変貌を遂げるなんて…まったくもって舌を巻く。これは面白かった!!M-8”I Can’t Make It Time”にもポップなシックスティーズ感覚を見て取れる。M-10”Rock’nRoll High School”の再録もサーフィンU.S.A.なビーチボーイズを思わせるもの。
ボーナスもとても良い。M-13”I Want You Around”のサウンドトラック・ヴァージョンとやら、メロの良さが生かされている。M-1”Do You Remember Rock’n’Roll Radio?”もデモでは荒けずりで、それがラモーンズらしさなんだけど、随所に見えるポップな側面を引きずり出すプロデュースだったのかな。フィルの狙いは。まあ当人たちは相当疲れただろうけど。いやしかし、70年代の終わりにロックの終わりと、結局ロックが再生産に陥ることを皮肉にも歌ってますよ。今も相も変わらずなのだけど。