/ Down Home ( Warner / 1970 )
シールズ&クロフツ。ギター、ヴァイオリンを弾くジム・シールズとマンドリンのダッシュ・クロフツのデュオ。ジムはイングランド・ダン・シールズの弟でもあり、イングランド・ダン&ジョン・フォード・コーリーとアクースティック・デュオとしての類似点を指摘されることが多いけど、それはパーカー・マッギーの曲なんかを演った70年代後半のライトメロウな時代の話。単なるフォーキーなデュオに収まらないシールズ&クロフツの方が、よりエキゾチックでグルーヴィーな感性を持っていた気がする。ま、ダン・シールズも死ぬほど好きなんだけど。
ヒットした“Diamond Girl”も、実に毛色の変わった曲。初めて彼らのベストのLPを買ったとき、ジャケのマンドリンと音がどうしても結びつかなった。しかし彼らの音楽性に触れて納得。楽器はどうあれ、体に染み付いたビートがフォークのそれだけではなく。”Summer Breeze”がアイズリーにカバーされたのは必然。もちろん、それでもマンドリンが入るから、かなりイナタイ感じになるのが面白い。それと、信仰。バハーイ教の信者って事で、それらしい曲が入っている。ヒッピーの残り香ありし70年代前半は良かったものの、80年代まで来ちゃうとソコが胡散臭くも見えて来るのだけれど。
さて、CD化されていそうでされていなかったメジャーどころを安価で再発してくれるWounded Birdからシールズ&クロフツがドカッと出ていることに今更ながら気付く。LPでそこそこ持っているとは言え、とりあえず初期盤中心に5枚くらい買ってみて。
改めて良い。今聴いているのは1970年のセカンド。コレは彼らには異色でジョン・サイモンのプロデュース。サイモン自身がピアノで、ジョン・ホールのエレキ、ポール・ハリスのオルガン、ハーヴェイ・ブルックスとビル・リッチのベース、グレッグ・トーマスのドラムスが入って。まず何と言ってもM-1”Ridin’ Thumb”でしょう!ファビュラス・ラインストーンズにもカバーされたグルーヴィ・ナンバー。この1曲で巷のシールズ&クロフツのイメージは変わるはず。サビにはフィフス・アベニュー・バンドをも思わせるAOR的洗練もあり。M-2”Hand-Me-Down Shoe”もその線。ピアノのイントロとコーラスが良い感じ。S&GライクなM-4”Robin”もなかなか。トラッド調のM-5”Hollow Reed”に次ぐM-6”Gabriel Go On Home”もピアノと弾むリズムが新鮮な佳曲。M-7”Tin Town”はアクースティックからバンドの音にするりと切り替わる様が実に見事。冗談みたいなブルーグラスM-10”Granny Will Your Dog Bite”はご愛嬌。
いま聴き直してこんなに新鮮とは。レア、マイナー盤掘り起こすよりコッチが先だなと反省。いやはや参りました。