/ Mystery Ticket ( Capitol ECS-81492 / 1982 )
レココレ誌の最新号を読んで気付きましたが、エリー・グリニッジが亡くなったんですね。享年68。衝撃。。ラリー・ネクテルの死も朝日新聞にひっそりと載っていてショックではあったけれど。こう言うニュースが多くなってくるなぁと改めて。
さて、今日はムーン・マーティンを聴いている。スペクター・フォロワーとして彼の”Aces With You”は忘れられない名曲。日本で言う所の大滝詠一、佐野元春、杉真理に当たるのが、海外で言えばニック・ロウ、ムーン・マーティン、マーシャル・クレンショウというのが個人的な感覚。80年代にスペクター・サウンドにアプローチした人達。まあ後期ビートルズもスペクター・サウンドの息がかかっているということにすれば。
このレコはかつて100円箱で発見したもの。B-3”Aces With You”だけでも損はしない。どこを切り取っても悪くない、3分間の完璧なポップス。永遠の名曲ナリ。この曲だけは西海岸のポップ職人アンドリュー・ゴールドのプロデュース。グレアム・グールドマンとWAX(レコでしか持っていなかったけれど、最近CDでベストが出ていたことを知り入手した)を結成していたことでも知られる。
さて、全体的に見ると、オールディーズ・オマージュ的な楽曲と、デジタルなポップロックが混じっているのがちょっと収まりが悪くもあり。でもそうしたA-1”X-Ray Vision”なんかを聴いて引かないで欲しい。デイブ・エドモンズを思わせるビートリーなロックンロールA-3”She’s In Love With My Car”(ジュード・コールとの共作)、3連のロッカバラードM-4”Paid The Price”を聴けば悶絶するはずだから。あるいは軽快なロックンロールB-2”Don’t You Double ( Cross Me Baby)”もなかなかだし。コレは本作大半のプロデューサー、ロバート・パーマーとビル・ハウスが手がけたもの。
CD音源で聴きたければ、この盤も2in1で出ているけれど、キャピトルから1999年に出た『The Very Best Of Moon Martin』が特にオススメ!
ところでこのムーン・マーティン。1969年・1971年に2枚のアルバムをリリースしたSouthwindなるグループに在籍し、後にイーグルスを結成する面々と共にリンダ・ロンシュタットの3rdアルバムにギター、コーラスで参加したジョン・マーティンその人。しかしその後は失速。ミンク・デヴィルの”Cadillac Walk”をはじめに、リサ・バーンズにも曲提供し、やっとソロ・キャリアの足がかりが出来たという苦労人。西海岸の繋がりってことで言えば、元ママス&ザ・パパスのミッシェル・フィリップス1977年のソロアルバムのタイトル曲”Victim Of Romance”を書き、バッキングで参加したのもムーンだった。