/ California ’99 ( ABC728 / 1971 )
アレンジャーのジミー・ハスケルが1971年に発表したソロ・コンセプト・アルバム。特殊ジャケも目を引く。近未来SF的な作りなのか、1999年までのアメリカ(カリフォルニア)を予見すると言う内容。ストーリーを書いたのはTom Gamacheなる人物。はっきり言って怪盤の類なのだが、LAロック好きには堪らない参加陣が魅力。まず演奏陣には、ルイ・シェルトン、マイク・ディージー、ラリー・ネクテル、ブライアン・ギャロファロ、ポール・ハリスなんぞが。コーラスにはメリー・クレイトン、クライディ・キング、マキシン・ウィラードらが参加。
ボーカルトラックが注目すべき所。まず、ジミー・ウィザースプーンが歌うザ・バンドの”The Night They Drove Old Dixie Down”はオリジナルに近いアレンジに突き放すブルーズ・ボーカルが載る辺りが最高。もちろん分厚いゴスペルコーラスと弦も入って。
さらに、ママス&ザ・パパスの故デニー・ドーハティがミレニウムの”To Claudia On Thursday”を演っていて。割と明快なロック・サウンドで歌われているので、曲に篭めたラブ&ピースな雰囲気がより伝わってくる。”Jessica Stone”と”California Fairy Tale”は現イーグルスのジョー・ウォルシュが歌う。どちらも後にイーグルスを手がけるビル・シムジクがソングライティングに加わっている。もちろんビルはジョーのバンド、James Gangのプロデューサーだった。もちろんボーカルだけだから、スティーヴン・スティルスもきっと好きだったはずの、ジョーのねばっこいブルーズは聴けないけれど、それはそれで貴重。最後にはピート・タウンゼンドが手がけた『Tommy』からの曲を持ってきていて。どうでもいいけど『Tommy』、フー版はずっと聴いていたけど、最近になってOdeから出たロンドン・シンフォニー・オーケストラ&豪華ゲスト参加盤を持っていないことに気付いて。フーの面々はもちろん、リッチー・ヘイヴンスやリンゴ・スター、メリー・クレイトン、マギー・ベル、ロッド・スチュワート、スティーヴ・ウィンウッド、リチャード・ハリス、サンディ・デニーなんかが顔をそろえたトンでもない盤でした。こういうロックの基本盤を落としていた事に気付くとマコトに赤面。あ、ジミー・ハスケルと全然関係ない話になってました。ま、こんな風に、聴いてると別の話をしたくなるような盤ナリ。