いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

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Shaun Harris / Same(Capitol / 1973)

markrock2017-06-23


フリート・フォクシーズの新作を聴いていたら、なんだか無性に聴きたくなってきたのがハーツ&フラワーズの1968年のキャピトル盤『Of Horses, Kids, and Forgotten Women』(ラリー・マレイ、デイヴ・ドーソン、そしてバーニー・リードン!)とショーン・ハリス1973年のキャピトル盤『Shaun Harris』。どちらもキャピトル産・カリフォルニアン・ポップの伝統ともいえるコーラスが印象的なカントリー・ロック盤。

ただ一筋縄ではいかないのはショーン・ハリス盤。ショーンはウェスト・コースト・ポップ・アート・エクスペリメンタル・バンドのベーシストだった人。ウェスト・コースト・ポップ・アート・エクスペリメンタル・バンドは60年代後半、サイケデリック・ロック全盛期に結成され、ショーン&ダニーのハリス兄弟と共にオズモンズ、ショーン・キャシディ、レイフ・ギャレットといったティーン・ポップのプロデュースで後に当てまくるマイケル・ロイドが在籍していた。ロイドはCCMの名プロデューサー、クリス・クリスチャンとコットン・ロイド・クリスチャンを組んでもいた(これも最高!)。個人的にはマイケル・ロイドと名のつくレコードはマイク・カーブ、トニー・ロメオ、ダニー・ジェンセンといった辺りと共にクレジット買いで相当集めたけれど。



このショーン・ハリスの唯一盤もショーンと共にマイケル・ロイドがプロデュースを手がけ、バックはハル・ブレイン、ジム・ゴードン、キャロル・ケイ、ジョー・オズボーン、ディーン・パークス、ラリー・ネクテル、マイケル・オマーティアン…というレッキング・クルーの面々。一聴してビーチ・ボーイズ・ライクなコーラスが映える”Love Has Gone Away”には本家ブルース・ジョンストンが参加していて。その他の曲も全編ハリス兄弟による多重コーラスを駆使しつつ、イーグルス・ミーツ・ビーチ・ボーイズなカントリー・ソフト・ポップを聴かせてくれる。A面ラストの”Canadian Ships”という曲、幻想的・サイケなムード、物悲しいメロディに分厚いコーラスと弦が被せられて…そう、フリート・フォクシーズを聴いていて頭をよぎったのはこの音なのだった。

ちなみにショーンの父はアメリカン・クラシックの作曲家ロイ・ハリス、母はカナダのピアニスト・作曲家のジョハンナ・ハリス。本盤を彩るオーケストレーションはそうした素養を感じさせてくれもする。