/ Sweet Soul Music ( Private Stock PS2022 / 1976 )
マッスル・ショールズ産。もちろんジェリー・ウェクスラー&バリー・ベケットのプロデュース。AOR〜MOR的な耳で聴いてもカナリの好盤。しかもPrivate Stockからのリリースということで当たりを予感。
イーヴィ・サンズがソングライティングに加わったA-1”I Love Making Love To You”なんて、切ないメロが実にホセ向き。Aメロのホーンのフレーズにはシカゴの”Saturday in the Park”を思い出してしまう。アコギにコンガが絡むA-2は一瞬聴いたことのあるメロに,「そうだ、デイヴ・メイスンの”Every Woman”だった」と思い出す。なかなかいい選曲。A-3は70年代に起死回生を図ったニール・セダカの”The Hungry Years”。ここまでスタンダードタッチだとグルーヴィーな流れをちょっと止めてしまう気も。マア、当時の選曲としては大正解なんだけど。同じニールなら、”Laughter in the Rain”なんてコンガを鳴らしながらのホセ・ヴァージョンを聴いてみたかった気も。
さて、マッスル・ショールズだということを忘れる3曲だったが、南部っぽさもちゃんと用意されていて。ファンキーなA-4”Marguerita”はジェイク・ホルムズ作、A-5”Loving Her Was Easier”はクリス・クリストファースン。さらにB面に行くと、いなたさとポップさが同居したB-1”Sweet Soul Music”がロジャー・トロイとマイク・ブルームフィールドの共作、バラードB-2”Love Comes From Unexpected Places”がキム・カーンズとデイヴ・エリンソンの共作、ソウルフルなミディアムB-3”That Woman”がドニーフリッツとビル・ブラックバーンの共作(なかなか良い曲)、B-5がウィリー・ネルスンの”Fanny”と”Night Life”メドレー、ということで。清涼剤のごときアルバート・ハモンドのB-4”The Air That I Breathe”も挟んではいるけれど。アルバム全体の統一感という意味ではとっちらかってはいるけれど、AOR寄りのマッスル・ショールズものを聴けたのは収穫。