/ 風は歌う ( Forestaurant SJOM-0001 / 2009 )
S&G来日。今回ばかりはチケ獲りました。アート・ガーファンクルは2度ほど観たけれど、ポールは初。中学の頃から聴いていて、ブート漁りなども一通りやって。最近は改めて聴くことも少なくなったけれど、フォーク党になったそもそもは彼らにあった事は疑いない。しかし68歳ですから、大丈夫か?と言う気もする。
さて、佐久間順平、大江田信のデュオの36年ぶりのセカンド。佐久間順平は高田渡のバッキングでも知られている大ベテラン。大江田信はご存知ハイファイ・レコード・ストア店主。レコ好きで知らない人はいないだろう。
個人的には長らく佐久間順平ファン。大昔ご挨拶させて頂いたこともあった。そのジェントルな歌声には、ギタリストを超えたソロ・アーティストとして、魅了される何かがある。(http://d.hatena.ne.jp/markrock/20080316)
さて、高田渡フォロワーとしては高い完成度を誇りつつも、かなり青臭い出来だった1973年の自主盤『夜だから』のことを思い出しつつ、何気なく手にとって購入した本作だけれど、期待を遥かに上回る円熟した仕上がりに驚いた。
二人の共作M-1”風の歌を聞こう”の小粋でグッドタイミーな仕上がりに思わず顔がほころぶ。そしてなんとも言えぬ温かみ。ホッとさせられる。A-2”キミの悲しみ”は、瀬戸口修の近作ライブなんかでも聴けたポップな楽曲。3フィンガーに旧き良きフォークを想う。佐藤博のM-3”たんぽぽのお酒”は”Scarborough Fair”風。そして忘れちゃいけない高田渡ものとしてはまずはM-4”鉱夫の祈り”とM-5”値上げ”を。後者は転調を交えていて。単純にカバーするだけでは面白みもない所だが、流石です。それにしても大江田氏の歌声はなんとも変わらず垢抜けないのがいい。フォーク・ミュージックのアマチュアリズム(失礼!)みたいなものが生きているように思えて。そうそう、『高田渡、旅の記録 上』に収録されていたM-9の林ヒロシ(小林政広)作品”夜行列車のブルース”も良かった。さらにはM-10”風”はアイリッシュっぽく最高。高田渡のヴァージョンも、ライブビデオ『グラスソングス』で歌っているのがとてもいい。ちなみにM-6茨木のり子詩の”わたしが一番きれいだったとき”は1stのリメイク。
ディスクユニオンでは特典で限定CD-Rを付けていて(http://diskunion.net/jp/ct/detail/JP0902-21)、中身はと言うと、林亭以前に「ユマニテ」と名乗っていた頃の目黒区民センターでのライブ(1972年)音源3曲(”ニュー・キャンプトン・レイシス””さよならが言えなくて””夜行列車のブルース”)。当然だけど、新作のほうが出来は良い。