/ 耳 ( Vertigo / 1972 )
ジャパニーズ・ニューロックの名盤が激安“1300円”で再CD化されている。“Naked Line”ってやつ。とりあえず『陳信輝』、ミッキー・カーティスと侍 『侍』、ミッキー・カーティス 『耳』、フラワー・トラベリン・バンド 『エニウェア』、フライド・エッグ 『ドクター・シーゲルのフライド・エッグ・マシーン』の5枚を入手。ミッキー・カーティスと侍 『河童』も昨日注文。数年経つと廃盤ってオチじゃないかと思いまして。ナイアガラのリイシューも申し訳ないけどソロソロ飽きてしまったので、こっちに投資!!
こうして、はっぴいえんどなどの「日本語派」とはある種対極にあった「英語派」の人々のニューロックものを改めて聴いてみると、その稚拙な発音にウンザリしたりもする。個人的にはつのだひろ、ミッキー・カーティス、柳譲治(ジョージ)以外は厳しいかと。
てなわけで、ミッキー・カーティスなのだが、この人の音は今聴いてもやはり凄い。ガロ、小坂忠やキャロルのプロデュースでも知られているが、ロカビリー時代含め、トニカク時代を超越した音作りには定評がある。音作りというよりまあセンスと言う感じ。
中でも出来がいいのが侍解散後のソロ作『耳』。全編山上路夫(ガロやウィークエンド”岬めぐり”で知られる作詞家)とがっぷり四つに組む。日本語フォークロック盤では5本の指に入る傑作ナリ!大野克夫、原田裕臣、アラン・メリル、細野晴臣、マイク真木、ガロの“トミー”こと日高富明と参加陣も豪華。曲も粒ぞろい。カバーだけじゃなくオリジナルもココまでだとは。
GSメロディのニューロック的展開A-1”夕日の決闘”にまずぶっ飛ぶ!マカロニウェスタンな疾走感溢れるリズムにベタなマイナーメロが飛び出し、そこに前衛的なシンセサイザーが絡みついてくると言う。凄いよコレ!細野と日高が参加したM-2”また陽がおちる”はマッシュルームでの小坂忠を思わせる。日高のアコギD-45が美しいM-5”モージョの世界”は裏ガロ。B-1”海賊ゴルギータ”もインパクト十分。B-4”それだけの幸せ”は当時CMソングになったカントリーポップな作。小坂忠っぽいか。ラストのB-5”ラリったラクダに乗って40日間”のみ英語詩。アラビアンなシンセと柴田ピピのシックスティーズなエレキがいい味。WORKSHOP MU の手がけたジャケは神秘的だ。
”ソフトロック・ヒッピーズシリーズ”全7タイトルと”NAKED LINE”第2弾は4月11日発売。なかなかこのシリーズ、良い。