/ The Crazycurtis Band ( Timely Records / 2005 )
クレイジーケンバンドならぬクレイジーカーチスバンド。その主は日本のポップス界の重鎮ミッキー・カーチス。ムッシュと同じく、進駐軍のベース回りに端を発する戦後のポップ・ロックってかゲーノー界の生き証人とも言える人。ウェスタンカーニバルの狂騒を経て、ニューロック時代には自らのバンド“侍”でレコードをリリース。ガロやキャロルのプロデューサーとしても良い仕事をしている耳の良い人。
もう70を超える歳だが、TVなどでもビターな上手いボーカルは健在。昨年TV放映を見たけれど、ウェスタン・カーニバル2009でもジャズ・テイストのボーカルが異彩を放っていた。
さて、往年の洋楽の名曲をカバーするって言うスタイルは1977年作以来のもの。その時の音源と新しくレコーディングされた名曲カバーを交えた『FROM THE MOON FOR THE TREES / JUST ROCK'N' ROLL』(1994)を聴いて改めてファンになった。2005年の本作もそのスタイル。全編叩くジミー・スミスのドラムスで既に腰が揺れる仕上がり。冒頭クリームの”Sunshine Of Your Love ”のリフで歌うエルヴィスの”ハウンド・ドッグ”からしてイカしている。ロックンロールだけでなくハンクの”泣きたいほどの淋しさだ”のようなカントリー曲やマット・デニスの”エンジェル・アイズ”のようなジャズも違和感無くハマるのが流石。とっても良い。ベストはエルヴィスの”ザッツ・オール・ライト”、ノスタルジックなフォーク・ソング”峠の我が家”、スロウにカバーしたニール・セダカの”恋の片道切符”、そしてルイ・アームストロングの”この素晴らしき世界”かな。ボーナスにスウィンギンな”スタンド・バイ・ミー”も収録されていてマコトに只者ではない。老若男女楽しめるはず。
昨年発売延期になった同傾向の『Smile』はまだ発売が決まっていない模様。