/ Same ( Epic KE33078 / 1974 )
アラン・リッチと言うと、ジェイムス・イングラムの”I Don’t Have A Heart”なんかを書いた同姓同名ライターがいるが、こちらはチャーリー・リッチの息子。エルヴィスやカール・パーキンスのいたサンでデビューした親チャーリーは70年代エピックで復活を遂げたのだが、それとほぼ同時期にエピックでデビューしたのが息子アラン。70年代に2枚のソロをリリースしているが、こちらは1st。ノーバート・パットナム、ケニー・マローン、ダン・フォーゲルバーグ、チャーリー・マッコイ、トレイシー・ネルソンらが参加。
親の名につられて大甘のカントリーを思い浮かべるのだが、かなり良質のメロウカントリーなAOR盤。A-1”Friday Night”やB-1”Call Me Monday”はパッカー・マッギーやマイケル・ジョンソンの線。声は鼻にかかったまろやかな低音。ロックンロールなA-2”Do What You Wanna Do”ではハードな一面を。悲壮なA-3”You Never Really Wanted Me”は自身のピアノ弾き語りで。これカナリ良い。そして続くA-4”Since The Day I Met You”が白眉。ピアノの雰囲気を残した切ないシティサウンド!フィフスー・アベニュー・バンドやローラ・ニーロのファンにオススメしたい。
さらにバラードA-5”A Part Of Your Life”やB-2”Be Kind To Your Self”、B-4”What Could Be More Beautiful”は70年代のジミー・ウェッブ作品かと思う仕上がり。とりわけA-5の女性コーラスがスーザン・ウェッブと激似です。別人だけど。ラストはロカビリー時代の親の曲A-6”Break Up”。流れとしては浮いているが、彼のルーツの一角。ちなみに親も息子のA-3、A-5をレコーディングしている。
B-3”Have Mercy On The Fighter”の大仰な展開っぷりも先ほどのジミー・ウェッブを思わせる。ラストはR&B調のB-5”River City Blues”。メロウ曲の個性には勝てず。
近年ではブラック・タイにジェイムス・グリフィンの後任として加入。元イーグルスのランディー・マイズナー、ジョン・レノンもお気に入りだったと言う”I Can’t Help”で有名なビリー・スワンとともに“Meisner, Swan & Rich”を結成。2001年には同名盤をリリースしている。CS&NならぬMS&Rというわけだが、ソングライティングは多くがアラン・リッチ(表記はチャーリー・リッチ・ジュニア)の作。良質のカントリー・ロック作。ちなみにその盤の監修には元ミレニウムのジョーイ・ステックが加わっている。