/ スタンダーズ ( 徳間ジャパン / 2007 )
ウーム。なんだか忙しくて更新が滞ってしまいました。ついつい放って置くとこうなってしまう…。聴く物は色々と。こう言う時に限って海外からドサっとレコが届いたり。船便だとアメリカから長くて1ヶ月半掛かりますから、注文したことすら忘れていたりして。余りに梱包が大袈裟なので爆弾でも送られてきたのかと思いました。
まあそうしたものも少しづつ紹介したいと思ってはいますが、取り合えず目ぼしい新譜モノから一つ、中西保志のJ-POPカバー集。中西保志と言えばカラオケ定番バラード“最後の雨”で知られる実力派歌手だが、近年は全く音沙汰ナシ。当時から同名の中西圭三と区別が付かないなど、散々な言われようだったが、バラードに発揮される確かな歌唱力は心に残るものがあった。鈴木雅之に端を発し、ゴスペラーズやSkoop On Somebodyに受け継がれたブラコン歌謡、中西もそうした路線に近かったのだが、前者ほどネチッこくない歌い回しが瑞々しかった。久々に力の入った本作はと言うと徳永でも大売れに売れた邦楽カバーモノ。ブルータスお前もか的感覚で手に取ったのだが、途轍もないアタリ盤。ここまでに唄の上手い歌手だったとは。今は韓流ドラマでしか聴けないようなバブリー・シンギングで大甘なバラードを朗々と、誠実に歌い上げる。あざといボビー・コールドウェル的ジャケも悪くない。ユーミンらと仕事をしている新川博、杉真理盤の編曲をしていた京田誠一の二人がアレンジを手がけ、松原正樹、土方隆之、古川昌義らがプレイヤー参加。エイティーズ!
久保田のM-3”Missing”やMisiaのM-7”Everthing”はいかにもハマりそうだったが、サザンM-5“真夏の果実”、オフコースM-10“言葉にできない”と言った意外なラインもファルセットなしの真っ直ぐな地声で歌い上げ、申し分ない。さらに山達M-2“甘く危険な香り”、浜省M-6“もうひとつの土曜日”ではオリジナルの歌い回しを忍ばせてひっそりレスペクトを。日本を代表するアルトヴォイスの女性SSW曲 M-8“シングル・アゲイン”、M-9“春よ、来い”の完成度…カバーでは随一か。どうでもいいけどドリカムM-1“LOVE LOVE LOVE”ってアルバート・ハモンドの“落ち葉のコンチェルト(For The Peace of All Mankind)”とコード進行一緒です。カバー集に先鞭を付けた陽水A-4”いっそセレナーデ”には深い余韻が。中島美嘉のM-11“桜色舞うころ”は現代でも王道バラード曲に十分市場があることの好サンプル。ラスト一世一代の名曲M-12”最後の雨2007”はボーナス扱いだが、ヤハリ良い!都志見節をサラッと歌いこなしてしまう力量に唸る。この曲、いまだに「のど自慢」で歌ってる人がいる。
選曲ヨシ。歌唱ヨシ。『スタンダーズ』の名に恥じない堂々たる好盤ナリ!売れれば第二弾もあるかも。