/ Saturday Night Blast ( Artists Voice Records / 2004)
iPodが壊れた。ほんと鬱な気分ですね。5200曲詰め込んだ苦労は何だったのか…。これだから亜米利加のオモチャはイヤなんです。
バブルガムポップのセッションシンガー、ロン・ダンテの近作を買ってみた。ジェフ・バリーに気に入られ、アーチーズのリードボーカリストとして、”Sugar Sugar”なんかをヒットさせている。また、カフ・リンクス”Traces”の歌唱でも知られる。驚くべきことに、滑らかな美声は60年代からのキャリアを感じさせないほど健在で若々しい。’60-‘70’sポップスのマスターピースをハッピーなサウンドで歌い綴る。音は新しくなっている。テッド・パールマン氏が全てを担当した打ち込みの軽さも、最近は技術の向上もあるからかそれほど気にならない。ていうか、生粋のビーチボーイズファンには怒られるかもしれないが、マイク・ラブ『Looking Back For Love』とか、オールディーズを軽薄にアレンジした音が個人的にはツボだったりするので、かなり楽しめます。
曲目・参加陣はというと、M-1”Old Time Rock & Roll / Mony,Mony”に始まり、M-2”Rockin’ Robin / Little Bitty Pretty One”ではハーマンズ・ハーミッツのピーター・ヌーンがボーカル参加。さらにM-3”Rock Me Gently”ではアンディ・キム!がロンと共にコーラスを聴かせる。そして、’80sポップにアレンジされた、ラヴィン・スプーンフルM-5”Summer In The City”ではトニ・ワインがガールポップな歌声を聴かせる。ガール、という歳ではもはやないわけだが。さらに、タートルズのM-4”Happy Together”、ピーター・アレンのM-8”I Go To Rio”、ビージーズ曲を歌うM-6”Words / To Love Somebody / If I Can’t Have You”もいい。ディスコな”If I Can’t Have You”はフルヴァージョンでも収録(M-12)。Barry Gibb曲をサラッと歌うのって実は高度な歌唱力を要すると思う。M-7”Anyone Can See”ではカール・ウィルソンの歌唱を思わす涙涙のバラード。本当に歌が上手い!後半に行くと安っぽいクラブサウンドみたいなものも出てくるが、勢いで聴けます。’80なロック/AORバラードM-10”Even After”、M-11”Don’t Lose Heart”は秀逸。声で勝負してきた男ならでは。年齢なんて隠せるんですね。
と聴いているうちにゴキゲンになってきてiPodの悲劇を忘れていた。ウーン、やっぱり腹立たしい。でも、音楽を弄んじまった罰なのかも。音楽愛好家たるもの、一盤集中、正座聴きですよ!基本は!!