いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

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【書評掲載】
『情況』2018年秋号 田中里尚(文化学園大学准教授)「教えられぬことこそ語り続けなければならない―石浦昌之の実践について―」
『日本教育新聞』2019年3月18日 都筑 学(中央大学教授)「先哲から学ぶ人生の知恵」
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Leah Kunkel

markrock2006-06-30

/ Same ( Columbia 35778 )


2枚持っているレコードってのはそうそうない。そんなお気に入りのレコードの1枚だったのがリア・カンケルのファースト。セクションの名ドラマー、ラス・カンケルの元夫であり、ママス&パパスの“ママ”・キャス・エリオットの妹(ホントに顔が良く似ている!)という生粋のカリフォルニア音楽娘。今年になってファーストのCD再発情報をチェックしてはいたのだが、まさかファースト『Leah Kunkel』だけでなくセカンド『I Run With Trouble』との2in1だとは!ほんとに感激。『I Run With Trouble』はかつてNYのレコ屋から取り寄せた記憶があり、その手間を思うと呆然とするが、さすがRev-Olaです。

、ということで気軽に楽しめるこのCD、流石にLPに備わったアウラはないものの、リアの清楚な絶品の歌唱と最高に充実した楽曲群でお腹一杯になれるお徳盤! まずはヴァル・ギャレイ&当時の夫ラス・カンケルがプロデュースを手がけた1978年の1枚目。LPではアート・ガーファンクルが裏ジャケにコメントを寄せていた。1978年からのアーティ初の大きなソロツアーで、リアはポール・サイモンのパートを担当していた(ジミー・ウェッブ曲集として評価の高い名盤『Watermark』にももちろん参加)。さて、MowestからLPを出しているリぺアーズ(Repairs)出身のピーター・マッキャン作のミディアムなブリージーAOR、M-1 ”Step Right Up”ではスティーブ・ルカサーのギターソロが聴ける。マッキャンのソロ作『One On One』(1979)では自演が聴ける。当時、ジェニファー・ウォーンズに提供した"Right Time Of The Night"もヒットしていたし、マッキャンは引く手数多だった。M-2”Under The Jamaican Moon”はLAで長い付き合いのあるスティーヴン・ビショップと共作したエキゾチックな名バラード。ニック・デカロの品のいい名盤『Italian Graffiti』が初出。スティーヴン自身もアコギで参加、ちなみに来日時のソロ演奏は素晴らしかった。リアの自作M-3”Souvenir Of The Circus”を挟み、マーヴィン・ゲイ&タミー・テレルで有名なジョニー・ブリストル作M-4” If I Could Build My Whole World Around You”は、瑞々しいボーカルを聴かせる好カバー!ウィリアム・D・(スミッティ)・スミスが勢いのあるオルガン&バックボーカルでサポート。次なるM-5”Down The Backstairs Of My Life”はそのスミッティ作の名バラード。ケニー・ランキンなんかもカバーしている。薄く入るストリングスは、ダン・ヒルアート・ガーファンクル、ジム・ウェッブとバリーマンの弾き語り作をフレッド・モーリンとのコンビで手がけたマシュー・マコウレイの手によるもの。さらにLPではここからB面になるが、M-6”Losing In Love”はジャクスン・ブラウン!がコーラスに加わる切ないボッサ調バラード。作者ハーラン・コリンズは50-60年代のロカビリーバンド、コリンズ・キッズのメンバーの兄弟と推測する。M-7”Step Out”は姉繋がりのママ・パパのカバー。オリジナルは『People Like Us』収録。ジュールズ・シアーのバラードM-8”Don’t Leave These Goodbyes”を挟んでビージーズのM-9”I’ve Got To Get A Message To You”。“獄中の手紙”ってやつですね。ビージーズ、個人的には大好きなのだが、大衆受けするメロながら実はアクが強い。ロビン・ギブの震える歌声が蘇ってきてしまうと言うか。レネ・アーマンドがコーラス参加。ラストM-10”Fool At Heart”は再びスティーヴン・ビショップの提供曲。彼の名盤『Bish』にも入っています。

ということでこの盤、自作曲を最低限に抑えたことが勝因か、エヴァーグリーンなボーカル名盤と相成った。別に自作曲が悪いというわけではないですが… (つづく)